少年期 (往復書簡集)

『少年期』は、波多野勤子が1950年に光文社から発表した往復書簡集です。副題に「母と子の四年間の記録」とあるように、著者である波多野が、息子の里望（のちの法学者）との間で、戦時中の4年間に交わした手紙をまとめたものです。この作品は、戦時下という困難な状況の中で、母と子がどのように向き合い、支え合って生きたのかを、率直な言葉で伝えています。

この作品は刊行後、多くの読者の心を捉えベストセラーとなりました。その感動的な内容から、映画やテレビドラマにも映像化されています。

映画

1951年には、松竹によって映画化されました。監督は木下惠介が務め、脚本も木下と田中澄江が共同で担当しています。映画は、昭和19年（1944年）の春、小石川の一家が信州の諏訪へ疎開し、翌年の終戦を迎えるまでの日々を、主に少年（旧制中学生）の視点から描いています。

映画の冒頭には、「此の映画は、苛烈なる戦争中を、より良く生きようとした、母と子の、ささやかな記録です」という字幕が映し出され、作品のテーマを端的に表しています。戦時下の厳しい状況でも、希望を失わずに生きようとする家族の姿が、観る者の心を打ちます。

スタッフ（映画）

原作：波多野勤子
監督：木下惠介
脚本：木下惠介、田中澄江
製作：小倉武志
音楽：木下忠司
撮影：楠田浩之
美術：浜田辰雄
後援：諏訪市、長野県諏訪清陵高等学校

キャスト（映画）

母：田村秋子
一郎：石浜朗
父：笠智衆
二郎：野沢哲男
三郎：木下武則
とよ：小林トシ子
下村先生：三國連太郎
下村先生の母：紅沢葉子
山崎夫人：櫻むつ子
古河老人：坂本武
校長：北龍二
煙草屋のおばさん：三好栄子
倉木先生：二本松嘉瑞

テレビドラマ

1962年5月4日には、NHK総合テレビジョンの『文芸劇場』枠でテレビドラマ化されました。脚本は田村幸二が担当しています。

スタッフ（テレビドラマ）

原作：波多野勤子
脚本：田村幸二

キャスト（テレビドラマ）

杉村春子
太田博之
中村伸郎

外部リンク

少年期 - 松竹
少年期 - 映画.com
* 少年期 - KINENOTE

これらの外部リンクでは、映画に関する詳細な情報やレビューを見ることができます。

『少年期』は、時代を超えて、親子の愛情や戦争の悲惨さを伝える不朽の名作です。書籍、映画、テレビドラマと様々な形で触れることができ、それぞれの表現方法で異なる感動を与えてくれます。

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