尚仁沢湧水

尚仁沢湧水：年間を通して湧き続ける天然アルカリイオン水

栃木県塩谷町と矢板市の境にある高原山山麓、標高590m地点に位置する尚仁沢湧水は、その豊かな水量と高い水質で知られています。年間を通じて、1日あたり65,000トンもの湧水がこんこんと湧き出ており、水温も年間を通してほぼ一定の11℃前後を保っています。

この湧水の源は、広葉樹の原生林に覆われた水源林です。この原生林が、伏流を保護し、冬季の渇水や凍結を防ぐ役割を果たしています。そのため、一年を通して安定した水量を確保できるのです。

尚仁沢湧水の最大の特徴は、その水質にあります。天然のアルカリイオン水で、冷たく、口にした時の柔らかさが印象的です。その美味しさは全国的に知られており、平成9年には全国37都道府県から選抜された名水の中で堂々の全国一位に輝きました。それ以降も、数々の水質コンテストで常に上位にランクインするなど、高い評価を維持し続けています。

湧水は、東荒川ダムの下流に流れ込み、最終的には那珂川水系荒川に合流します。塩谷町では、この貴重な資源を活かした町おこし事業にも力を入れています。町では給水スタンドを設置し、業者向けに湧水を販売する一方、一般の観光客向けには、尚仁沢の清水を導水して東荒川ダム湖畔に親水公園を整備しています。この公園は、自然豊かな環境の中で湧水を身近に感じ、楽しむことができる憩いの場となっています。

尚仁沢湧水の周囲の環境保全にも配慮がなされており、自然環境と調和した持続可能な利用が目指されています。その結果、環境省の名水百選にも選定され、自然と人との共存を示す象徴的な場所となっています。

尚仁沢湧水は、単なる湧水ではなく、地域住民の生活や経済、そして観光に貢献する貴重な資源です。その豊かな水量、優れた水質、そして美しい自然環境は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。また、周辺地域では、この湧水を活かした様々な取り組みが行われており、地域活性化にも貢献しています。

尚仁沢湧水へのアクセスは、公共交通機関を利用するのが便利です。最寄りの駅からのバス路線を利用したり、マイカーで訪れた場合は、近隣の駐車場に車を停めて徒歩で訪れることができます。周辺には、散策路なども整備されているので、自然を満喫しながら訪れることも可能です。

尚仁沢湧水は、自然の恵みと人々の努力が融合した、かけがえのない場所と言えるでしょう。

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