水源林

水源林とは

水源林（すいげんりん）は、森林の水源涵養機能に基づいて整備される特別な森林のことです。特に脊梁山脈のような地形を持つ国々においては、短期間で雨水が流出してしまうため、水資源の確保が難しくなります。これに対処するため、利水ダムと連携して水源林の整備が進められています。

水源涵養機能の重要性

降雨時、森林内の樹冠や土壌は、雨水を一時的に蓄える役割を果たします。このため、河川への流出量や流出時間の管理が可能となります。また、雨水は地下の層に浸透し、地下水としての役割も果たしています。森林そのものは水を生成する能力はないものの、効率的に水を保持することで渇水期でも流域における水量を安定させることが知られています。

水源林の姿

一般的に、水源林といえば大きな広葉樹が生い茂るイメージがありますが、実際の研究によれば、針葉樹や広葉樹、天然林や人工林の間では水源涵養能力にほとんど差は見られないことが示されています。浸透能の善し悪しには立木の種類よりも、気象条件や長年の土壌の質が大きく影響していると考えられています。

日本における水源林

日本では、森林法に基づき、上流域の森林を保安林として指定し、伐採や開発が制限されています。その結果、現在の日本の森林の約45%に相当する約1,142万ヘクタールが水源かん養保安林として保全されています。ダム湖周辺の山林もこの制度の対象です。もし保安林が風水害によって劣化した場合、国や都道府県は治山事業を行います。

水源林造成事業

1961年には、森林開発公団が水源かん養保安林の自発的整備の促進のため、分収林制度を導入しました。この制度に基づいて、2008年までに約46万ヘクタールの森林整備契約が結ばれ、水源林の管理が進められています。

自治体の取り組み

例えば、東京都や神奈川県などの都市部では水源の安定供給を目的とした水源林の整備が行われており、特に県境を跨いで山梨県内の複数の村での森林保全が注目されています。1976年の研究によれば、都市住民1人あたり飲料水を確保するためには300〜500平方メートルの水源林が必要であり、下水処理水の希釈には900〜1,000平方メートルの水源林が求められています。

外国人による水源林の買収

近年、日本の水源林が外国人によって買収される事例が報じられることがあります。しかし、林野庁の調査によると、水源に影響を及ぼすような大規模な森林売買は確認されておらず、2018年度における外国人による買収は全国で30件、約373ヘクタールとなっており、日本の森林面積（約2,500万ヘクタール）から考えるとごくわずかなものです。

まとめ

水源林は私たちの生活に密接に関連している重要な存在です。今後も適切に管理し、保全していく必要があります。

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