尚衞

尚衞（しょう まもる）

琉球王国第二尚氏の第23代当主。1950年（昭和25年）8月18日、第22代当主である尚裕侯爵の長男として生まれる。三重県伊勢市に在住。

経歴

東京都千代田区にある千代田区立永田町小学校、同麹町中学校を経て、玉川学園高等部へ進学。玉川大学を卒業後、西武百貨店に勤務した。数年後に退社し、その後はモデルや映画のエキストラなどとしても活動した。

1982年（昭和57年）5月に結婚。1984年（昭和59年）には長男の猛（たける）氏が誕生する。1993年（平成5年）にはアメリカ合衆国アラバマ州のサムフォード大学へ留学し、MBAを取得。帰国後に離婚した。

2017年（平成29年）8月、三重県出身の神職である孝之（たかゆき）・満喜（まき）夫妻と養子縁組を結んだ。2019年（令和元年）5月には、一般社団法人琉球歴史文化継承振興会を設立し、代表理事に就任した。

活動

伝統文化を継承し、沖縄県民の思いに応えるため、琉球王家の祖先を供養する重要な伝統祭事である「清明祭（シーミー、ウシーミー）」を、第二尚氏の歴代国王が葬られている那覇市首里の陵墓「玉陵」で執り行うことを2017年に決意した。

玉陵は1992年（平成4年）に父・尚裕氏によって那覇市に寄贈されており、2000年（平成12年）には「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の一つとして世界遺産に登録されていたため、玉陵での清明祭開催には那覇市の協力が必要だった。尚衞氏は当時の城間幹子那覇市長を訪問し、玉陵の使用について協力を要請した。

そして2018年（平成30年）4月6日、玉陵において清明祭が執り行われた。一族関係者7名に加え、市町村代表者など来賓25名が参加。これは、1970年代半ばに両親が玉陵で行って以来、実に約45年ぶりの玉陵での清明祭となった。儀式を終えた後、報道陣に対し「感無量です。沖縄あっての尚家なので沖縄独自の文化を大切にし、県民のためにさまざまな形で貢献していきたい」と述べ、今後も玉陵での清明祭を毎年開催していく意向を示した。

また、同年には琉球王国時代の貴重な資料253点を那覇市へ寄贈した。これに対し、同年8月9日に那覇市役所で那覇市から感謝状が贈呈されている。

このとき尚衞氏から那覇市へ寄贈された38点の文書と1点の文書箱、および石垣市立八重山博物館から2018年12月に那覇市へ移譲された3点の尚家文書、これら計41点の尚家文書について、2019年（平成31年）3月18日に国の文化審議会は、国宝への追加指定を柴山昌彦文部科学大臣に答申した。答申の対象となったこれらの尚家文書には、琉球王国から明治新政府へ派遣された使節団の業務日誌である「東京日記」や、琉球国王が正月の儀式の際に着用した衣装の記録などが含まれており、専門家からは「当時の琉球王国の対応や儀式の詳細を知る上で貴重な資料となるだろう」と評価されている。なお、尚家文書は2006年（平成18年）に沖縄県として戦後初の国宝に指定されている。

祭祀の後継者としては、実子である猛氏ではなく、養子の孝之・満喜夫妻を指名している。評論家の篠原章氏は、清明祭を巡る一連の動きの中で、尚衞氏と養子夫妻、そして猛氏および琉球王族の系統である門中会「向氏仁淵堂（しょうしじんえんどう）金武御殿門中会（ちんうどぅんむんちゅうかい）」との関係に亀裂が生じたことを指摘している。

2025年（令和7年）5月には、那覇市で開催された「沖縄県祖国復帰53周年記念祭典」に登壇し、1879年（明治12年）の琉球処分（沖縄県設置）について言及した。この際、「（琉球の）滅亡ではなく、日本という国家への統合を選択した。尚家を守ることより、琉球の民の幸福を願った第19代尚泰王の正しい決断だった」との認識を示した。

もう一度検索