尭孝

尭孝（ぎょうこう）は、室町時代中期に活躍した僧であり、著名な歌人でもあります。明徳2年/元中8年（1391年）に生まれ、享徳4年7月5日（1455年8月17日）にその生涯を閉じました。武家である二階堂氏の出身で、父は同じく僧であり歌人としても知られる尭尋です。また、和歌四天王の一人である頓阿の曾孫にあたるという、和歌の血筋を受け継ぐ人物でした。

尭孝は、曽祖父の代から引き継いだ和歌所を預かり、その才能を大いに開花させました。彼は二条派の歌壇における中心的な存在となり、その卓越した歌才で多くの人々を魅了しました。同時代の歌人であり、冷泉派の代表的な歌人であった清巌正徹とは、互いに影響を与えあい、切磋琢磨する関係でした。

永享5年（1433年）には、和歌所開闔（かいこう）という重要な役職に任じられました。これは、和歌に関する政務を統括する責任者であり、彼の歌壇における地位と影響力を示すものです。この役職において、彼は勅撰和歌集である「新続古今和歌集」の撰出という大事業を成し遂げました。この和歌集は、当時の和歌の動向を示す重要な資料であり、尭孝の選歌眼と編集能力の高さを物語っています。

尭孝は、歌人としての活動以外にも、多くの弟子を育成しました。養子には僧であり歌人としても活躍した尭憲がおり、弟子には尭恵や三条西公保といった、後世に名を残す歌人がいます。これらの弟子たちの存在からも、彼の指導力や人望が伺えます。

尭孝の和歌は、その流麗な表現と深い情感で知られており、後世の歌人たちにも大きな影響を与えました。彼の存在は、室町時代の和歌文化を語る上で欠かせないものであり、その功績は今日においても高く評価されています。

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