尼五山

尼五山（あまござん）とは

尼五山とは、室町時代に五山制度に倣って、臨済宗の尼寺に導入された特別な寺格のことです。これは、京都五山や鎌倉五山といった僧侶の寺院における格式制度を、尼寺にも適用したもので、「尼寺五山（あまでらござん）」とも呼ばれます。

京都と鎌倉にそれぞれ5つの寺が選ばれ、各寺は格式に応じて序列が定められました。『蔭涼軒日録』によると、京都の尼五山は景愛寺、護念寺、檀林寺、恵林寺、通玄寺の5寺、鎌倉の尼五山は太平寺、東慶寺、国恩寺、護法寺、禅明寺の5寺とされています。

尼五山の特徴

尼五山は、比丘尼御所（皇族や貴族出身の女性が出家した尼寺）とは本来異なる性格を持つものでしたが、後世になるにつれて混同されるようになったとされています。尼五山は、五山制度の影響を受けつつも、尼寺としての独自の発展を遂げたと考えられています。

京都尼五山

京都の尼五山は「京兆五山」とも呼ばれていました。一般的に僧侶の五山のような秩序だった制度と捉えられてきましたが、実際には、室町時代中期に焼失して廃寺となった寺院も含まれており、各寺院が揃っていた時期は短期間であったという指摘があります。特に、筆頭とされた景愛寺の影響力が大きかったと考えられています。

各寺院の詳細

1. 景愛寺: 京都尼五山の筆頭であり、特に重要な寺院でした。景愛寺の子院には、大聖寺や宝鏡寺があります。
2. 護念寺: 第二位に位置づけられていました。
3. 檀林寺: 第三位。なお、嵯峨野にある同名の檀林寺とは無関係です。
4. 恵林寺: 第四位に位置していました。
5. 通玄寺: 第五位。通玄寺の子院には曇華院があります。

鎌倉尼五山

鎌倉の尼五山は、以下の5つの寺院で構成されています。

各寺院の詳細

1. 太平寺: 鎌倉尼五山の第一位とされていました。
2. 東慶寺: 第二位に位置づけられていました。
3. 国恩寺: 第三位に位置していました。
4. 護法寺: 第四位に位置づけられていました。
5. 禅明寺: 第五位に位置していました。

関連人物

* 青岳尼: 太平寺最後の住持を務めた人物です。

まとめ

尼五山は、室町時代における尼寺の格式を示す重要な制度でした。京都と鎌倉にそれぞれ五つの寺院が選ばれ、各寺院は歴史的な背景や影響力を持っていました。この制度は、当時の仏教文化や社会構造を理解する上で、重要な手がかりとなります。

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