宝鏡寺

宝鏡寺

宝鏡寺は、京都市上京区に位置する臨済宗系の単立寺院です。西山を山号とし、聖観音菩薩を本尊としています。近世には皇女が入寺する尼門跡寺院であり、「百々御所（どどのごしょ）」、「人形寺（にんぎょうでら）」の名で親しまれています。

歴史

尼五山第一位であった景愛寺は、無学祖元の弟子である尼僧・無外如大によって弘安年間（1278年 - 1288年）に創建されました。景愛寺の第6世である光厳天皇皇女・華林宮惠厳は、応安年間（1368年 - 1375年）に御所で祀られていた聖観世音菩薩を景愛寺の子院・建福寺に安置しました。後光厳天皇より「宝鏡寺」の名を賜り、新たな寺院として開山したのが当寺の始まりです。

足利義満の時代には、東側に義満母・紀良子と義満実弟・満詮の別宅である小川殿がありました。応仁の乱の際には細川勝元の別宅となり、後土御門天皇や足利義政室・日野富子が避難しました。後に御殿は焼失し、跡地は宝鏡寺に取り込まれました。

寛永21年（1644年）に後水尾天皇皇女・理昌女王（久厳尼）が入寺して以降、代々の皇女が入寺する尼門跡寺院となり、「百々御所」と呼ばれました。天明8年（1788年）の天明の大火で焼失しましたが、寛政10年（1798年）に書院などが再建され、現在の建物群は尼門跡寺院の構成をよく伝えています。

明治時代に入り、宝鏡寺住職が代々兼務していた大慈院を合併しました。景愛寺は応仁の乱で焼失しましたが、惠厳禅尼の入寺以後は宝鏡寺が景愛寺を兼摂し、法灯を受け継いでいます。

現在、宝鏡寺の東側には表千家と裏千家があります。毎年10月14日には人形供養祭が行われます。

人形の寺

宝鏡寺は「人形の寺」としても知られています。内親王が入寺する尼門跡寺院には、天皇から人形が贈られることが多く、宝鏡寺も孝明天皇遺愛の人形をはじめ、多くの人形を所蔵しています。1957年（昭和32年）秋から人形展が開催され、その後人形供養も行われるようになりました。1959年（昭和34年）秋には、京人形の振興を目的として境内に人形塚が建立されました。

境内

境内には、本堂、阿弥陀堂、書院などの文化財が点在しています。

本堂：文政10年（1827年）上棟。河股幸和による襖絵「葡萄と鹿」があります。扁額「宝鏡寺」は宝鏡寺門跡22世本覚院宮の筆。
庭園
阿弥陀堂：弘化4年（1847年）に光格天皇勅作の阿弥陀如来立像が御所より移される際、同時に移築されました。日野富子像なども祀られています。
書院：寛政10年（1798年）再建。円山応挙の杉戸絵や、円山応震と吉村孝敬が描いた襖絵があります。
庭園「鶴亀の庭」
使者の間
大玄関
庫裏
人形塚：1959年（昭和34年）秋造立。御所人形像と武者小路実篤の歌が刻まれています。
御物見：尼門跡が境内の中から外を見ることができる建物。
山門

文化財

京都市指定有形文化財
本堂
阿弥陀堂
書院
使者の間
玄関
大門

普段は非公開ですが、春と秋に特別拝観が行われます。

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