寺格

寺格とは

寺格とは、寺院の宗教的地位や社会的地位に応じて、朝廷や幕府などの政府、あるいは各教団が定めた寺院の格式、および等級のことです。寺院の格式は、封戸、出挙稲、寺田、荘園などの所有権、僧の官位である三綱や別当・住持職の任免、修法の方法、服装などの待遇、経済力、身分などによって区分され、高い格式を認められた寺院は特権的な待遇を受けました。

寺格の変遷

古代

古代には、朝廷が官寺を定め、『延喜式』において官寺を大寺、国分寺、定額寺と、大寺、有封寺、諸寺の2種3階級に区分しました。また、天皇の祈願寺は勅願寺と称されました。

中世

中世に入ると、皇族や貴族が住職を務める門跡寺院が生まれました。門跡は、宮門跡、摂家門跡、准門跡、脇門跡などに分類され、その下に院家、准院家などが存在しました。官寺や門跡は朝廷における序列でしたが、鎌倉幕府後期には、臨済宗の主要な五つの寺院を選定して「五山」の寺格を制定しました。室町幕府はさらにこれを発展させ、臨済宗寺院を五山、十刹、諸山、林下に区分しました。これにより、他の宗派内でも序列や格式としての寺格が成立しました。また、一宗を統率する僧録が住む寺院は「僧録所」として重視されました。

江戸時代

江戸時代には、江戸幕府が本山-末寺の本末制度を導入し、各宗派の本山を通じて仏教界全体を統制しました。幕府や諸藩は、戦国時代の制度を引き継ぎ、窓口となる触頭を宗派ごとに江戸や所領へ配置し、触頭の寺院も特別視しました。その他、寺領による朱印寺や黒印寺、僧衣の色による紫衣寺や香衣寺、儀式典礼による独礼寺などの区分があり、浄土真宗の連枝寺院など、教団ごとに寺院の格式が定められ、序列化されました。

明治維新以降

明治維新以後は、政教分離により国家による寺格認定は消滅しました。

現代

現在では、各教団ごとに大本山、本山、別格本山などの本末関係に基づく寺院等級や、日蓮宗の霊跡寺院、由緒寺院などの寺格制度が設けられています。

関連項目

官寺
国分寺
定額寺
勅願寺
門跡
五山
京都五山
鎌倉五山
尼五山
十刹
諸山
僧録
触頭
本山
末寺
社格

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