尼子長三郎

尼子長三郎

尼子長三郎（あまこ ちょうさぶろう、文政元年（1818年） - 文久3年11月25日（1864年1月4日））は、幕末期の水戸藩に仕えた志士です。宇多源氏の流れを汲む佐々木氏（京極氏）の一門、尼子氏の家系に生まれ、代々水戸藩士を務める家柄でした。諱は久恒、または久待といい、長三郎、亀太郎などの仮名も用いました。父は尼子津右衛門久道、母は内藤益利の娘です。墓所は茨城県水戸市松本町の常磐共有墓地にあり、その功績から贈従五位が追贈されています。子に尼子久次郎がいます。

生涯

長三郎は、水戸藩士である尼子久道の子として誕生しました。天保12年（1841年）に床机廻として藩に出仕し、そのキャリアをスタートさせます。弘化元年（1844年）には、藩主であった徳川斉昭が幕府からの譴責を受け隠居を命じられるという事態が発生。これに対し、長三郎は斉昭の宥免を求めて奔走し、他の藩の志士たちとも交流を深めました。

安政2年（1855年）には馬廻組に任じられ、万延元年（1860年）には尼子家の家督を相続しました。文久2年（1862年）3月には、同僚の美濃部又五郎らと共に長州藩の別邸を訪れ、長州藩の有志たちと会談。水戸藩と長州藩の提携に向けて尽力しました。この頃より、尊王攘夷運動に深く関わっていきます。

文久3年（1863年）2月、藩主・徳川慶篤が勅命により上洛すると、長三郎もこれに随行し、孝明天皇の賀茂社行幸や石清水八幡宮への参拝にも供奉しました。同年4月には江戸に戻り、6月には小姓頭取に昇進。その後は、京都の公卿たちの間を奔走し、尊皇攘夷の実現を訴え続けました。しかし、同年11月25日に急逝。享年46歳でした。

長三郎の死後、その功績が認められ、大正4年（1915年）に従五位が追贈されました。彼の行動は、水戸藩における尊皇攘夷運動を推進する上で重要な役割を果たし、幕末維新の動乱期における志士の一人として、その名が刻まれています。



参照文献

明田鉄男編『幕末維新全殉難者名鑑1』（新人物往来社、1986年）ISBN 4404013353
家臣人名事典編纂委員会編『三百藩家臣人名事典 (2)』（新人物往来社、1988年） ISBN 4404014902

もう一度検索