尾林幸彦

地方競馬のレジェンド、尾林幸彦

1963年、大分県中津市で生まれた尾林幸彦氏は、幼少期から競馬に囲まれた環境で育ちました。中学時代の出来事がきっかけで騎手を目指すようになり、地方競馬教養センターを卒業。1979年、中津競馬場でデビューを果たします。

デビューから間もなく初勝利を収めると、その後は中津競馬場の中心騎手として活躍。中津記念3連覇、中津ダービー連覇など数々のタイトルを獲得し、1998年と1999年には2年連続でリーディングジョッキーに輝きました。ライバル関係にあった有馬澄男氏との壮絶なリーディング争いは、競馬ファンの記憶に今も深く刻まれています。

しかし、2001年、中津競馬場が閉鎖されるという衝撃の事態が発生。2000勝を目前にしていた尾林氏も、引退を考えたといいます。しかし、同期である橋本幸次郎氏の助けもあり、荒尾競馬場に移籍して現役を続行することを決断しました。九州競馬各場間の連携が、この移籍を後押ししたと言えるでしょう。

荒尾競馬場では、所属厩舎の廃業など、苦難の時期もありましたが、その後は畑田厩舎に移籍し、再び活躍の場を広げます。2009年には通算2500勝を達成するなど、その実力は衰えるどころか、むしろ磨きがかかっていました。2010年にはゴールデンジョッキーカップにも出場し、高いレベルで競争力を維持していました。

しかし、荒尾競馬場も2011年末に閉鎖されることになり、尾林氏は同日をもって現役を引退。地方競馬界に大きな功績を残しました。通算成績は16640戦2665勝、2着2326回、3着2139回という輝かしいものでした。

主な重賞勝利
中津記念（1982年、1992年-1994年、2000年）
アラブ新春賞（1986年）
アラブ優駿（1986年、1999年）
アラブ王冠（1992年、1997年）
中津大賞典（1987年）
中津ダービー（1988年-1989年、1998年）
中津桜花賞（1998年）
大阿蘇大賞典（2002年）
ヤングチャンピオン（2003年）
有明大賞典（2003年、2005年）
九州記念（2007年）
九州王冠（2008年）

尾林幸彦氏の騎手人生は、地方競馬の歴史そのものと言っても過言ではありません。中津競馬場、そして荒尾競馬場の閉鎖という、時代の流れの中で、それでもなお騎手として戦い続けたその姿は、多くの競馬ファンに感動と勇気を与え続けています。彼の功績は、これからも語り継がれていくことでしょう。弟の尾林幸二氏は園田競馬所属の調教師として活躍しており、兄弟揃って競馬界に貢献していることも特筆すべき点です。

参考文献
Netkeiba インタビュー前編
Netkeiba インタビュー後編

関連項目
騎手一覧

外部リンク
騎手登録情報 - 地方競馬情報サイト
* 騎手名鑑 - 荒尾競馬オフィシャルサイト

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