山下いくと

山下いくと：漫画家、メカニックデザイナー、そして多才なクリエイター

山下いくと氏は、1965年8月23日岐阜県生まれの漫画家、メカニックデザイナーです。現在も岐阜を拠点に精力的に活動を続けており、その多才な才能でアニメ、漫画、小説、さらには実写映画のデザインなど、多岐にわたる分野で活躍しています。

名古屋芸術大学卒業から漫画家としてのキャリアへ

名古屋芸術大学美術学部卒業後、漫画家としてのキャリアをスタートさせます。代表作として知られるのは、『ダークウィスパー』と『風の住処』です。『ダークウィスパー』は海を舞台にした作品であり、後に『青の6号』への参加にも繋がります。

アニメ作品への多大な貢献：メカニックデザインから脚本まで

山下氏はその卓越したメカニックデザインセンスで、数多くのアニメ作品に携わってきました。特に有名なのは、『ふしぎの海のナディア』、『新世紀エヴァンゲリオン』、『戦闘妖精雪風』、『青の6号』などです。

『ふしぎの海のナディア』ではニュー・ノーチラス号のデザインを担当。初期案は独特な前進翼でしたが、作画のしやすさから変更されました。しかし、船内のデザインは原案のまま、色彩のみ変更される形で採用されています。

『新世紀エヴァンゲリオン』では、当初周辺メカのデザイン依頼を断ったものの、後に主役メカのデザインを依頼され、快諾。コックピット位置や胸板の薄さなど、庵野秀明監督との綿密なやり取りの中で、エヴァンゲリオンのデザインを決定的にしました。「エントリープラグ」などの用語も、山下氏が命名しています。さらに、初期段階の脚本にも関与し、独自のアイデアやストーリーを庵野監督に提案しています。

『青の6号』では、当初参加予定はありませんでしたが、奇しくも『ダークウィス盤』が海を舞台にした作品であったことから、山下氏への参加要請が次第に強まり、結果として潜水艦のデザインを担当することになりました。

『戦闘妖精雪風』では、メカニックデザインだけでなく、最終話の絵コンテと脚本も担当しています。また、休憩中に描いた落書きが元となり、OVA『戦闘妖精少女 たすけて! メイヴちゃん』の製作にも繋がりました。

同人活動と多様な創作活動

学生時代から地元でSF系の同人誌に漫画を描いており、そこで出会ったきお誠児氏とは、後に『新世紀エヴァンゲリオン』の制作で再び共に仕事をすることになります。プロになってからも同人サークル「BLUE AND PURPLE」を主宰し、設定資料集や画集などを発表し続けています。

『エヴァンゲリオン ANIMA』では、執筆、デザイン、イラスト、製作総指揮を一人でこなすなど、その才能の幅広さを示しています。2015年には、日本アニメ（ーター）見本市で発表された短編アニメ「偶像戦域」で監督を務めています。

海外からの高い評価と幅広い活動

山下氏のメカニック描写の斬新さとデザインセンスは、海外でも高い評価を受けています。近年では、実写映画『シン・ウルトラマン』や『シン・仮面ライダー』のデザインにも参加するなど、その活躍はますます広がりを見せています。新幹線「500 TYPE EVA」のデザインや、準天頂衛星システム「みちびき」のロゴデザインなども手がけています。

山下いくと氏は、漫画家、メカニックデザイナーとしての枠にとらわれず、多様な分野でクリエイティブな活動を展開し続ける、現代を代表するクリエイターの一人と言えるでしょう。

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