山下一史

山下一史（やました かずふみ）は、1961年9月10日、広島県広島市に生まれた日本の指揮者です。東京藝術大学音楽学部指揮科教授として後進の指導にもあたっています。

生い立ちと音楽への道

山下は、被爆二世として生まれました。1977年、桐朋女子高等学校音楽科に入学し、チェロを井上頼豊氏に、指揮を尾高忠明氏、小澤征爾氏、秋山和慶氏、森正氏に師事しました。1982年には「第17回民音指揮者コンクール」で奨励賞を受賞し、その才能を早くから開花させました。

1984年に桐朋学園大学を卒業後、ベルリン芸術大学へ留学。1985年からは、巨匠ヘルベルト・フォン・カラヤンのアシスタントとして、カラヤンが亡くなるまでその薫陶を受けました。1986年には、ニコライ・マルコ国際指揮者コンクールで優勝。同年、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の公演で、急病のカラヤンの代役としてベートーヴェンの「第九」を指揮し、大きな注目を集めました。この時、ジーンズ姿で指揮台に立ったことは、彼の型にはまらない音楽への情熱を象徴するエピソードとして語り継がれています。

プロの指揮者として

山下は、国内外の様々なオーケストラで指揮者を務めてきました。

NHK交響楽団副指揮者（1988年 - 1995年）
オーケストラ・アンサンブル金沢プリンシパル・ゲスト・コンダクター（1991年 - 1993年）
ヘルシンボリ交響楽団首席客演指揮者（1993年 - 1998年）
九州交響楽団常任指揮者（1996年 - 1999年）
ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団常任指揮者（2002年 - 2007年）、名誉指揮者（2008年 - ）
仙台フィルハーモニー管弦楽団指揮者（2006年 - 2008年）、正指揮者（2009年 - 2012年）

これらのオーケストラとの共演を通じて、山下は幅広いレパートリーを磨き、その音楽性を高く評価されています。また、東京佼成ウインドオーケストラなどのプロ吹奏楽団への客演や、CDレコーディングも積極的に行っています。

2006年からは、一般公募型の大規模「第九」イベント「第九ひろしま」（管弦楽：広島交響楽団）の指揮者を務め、地域音楽文化の振興にも貢献しています。

現在では、千葉交響楽団の音楽監督（2016年 - ）と大阪交響楽団の常任指揮者（2022年 - ）を兼任し、精力的に活動しています。

その他の活動

山下は、クラシック音楽の指揮者としてだけでなく、教育者としてもその手腕を発揮しています。東京藝術大学音楽学部指揮科での指導を通じて、次世代の音楽家育成にも力を入れています。

山下一史は、その才能と情熱で、常に聴衆を魅了し続ける指揮者です。彼の今後の活躍が期待されます。

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