山下佐英

山下 佐英（やました すけひで）

山下佐英は、1931年10月に誕生した日本の医学者、歯学者です。医師および歯科医師という両方の国家資格を有し、特に鹿児島大学においては、長年にわたり口腔外科学の研究教育を牽引しました。同大学の名誉教授であり、かつては歯学部附属病院長も務め、現在は鹿児島医療技術専門学校の学長として後進の育成にあたっています。鹿児島県の伊集院高校を卒業しています。

経歴

そのキャリアは、まず1957年に鹿児島大学医学部を卒業したことから始まりました。初期には日本赤十字社中央病院でのインターンシップを経て、母校である鹿児島大学に戻り、医学部にて副手、助手、講師、そして助教授と段階的に職位を上げていきました。学問への探求心から、その後大阪大学歯学部に編入し、1970年に卒業しています。この歯学部での学びを終えた後、再び鹿児島大学に戻り、医学部助教授として復職しました。そして、1977年には新設された歯学部の教授として迎え入れられ、口腔外科学講座を主宰しました。医学部と歯学部の両方でキャリアを積んだことは、彼の研究姿勢にも大きな影響を与えたと考えられます。長年にわたり鹿児島大学の教育・研究に貢献した後、1997年に定年を迎え、同大学より名誉教授の称号を授与されました。また、教授在任中には鹿児島大学歯学部附属病院長という重責も担い、医療機関の運営においても指導力を発揮しました。

学術的業績

学術的な業績としては、1967年に鹿児島大学から医学博士号を取得しています。その博士論文のテーマは「口腔領域悪性腫瘍の頸部リンパ節転移に関する臨床病理組織学的研究」であり、口腔がんが頸部リンパ節に転移するメカニズムや病理組織学的特徴に関する深い研究成果は、この分野の理解に大きく貢献しました。この研究は、口腔がんの診断や治療戦略を確立する上で重要な基礎情報を提供しました。

著作

後進の指導や広く医療関係者への知識普及にも熱心であり、複数の重要な専門書を世に送り出しています。主なものとしては、

山下佐英 他 著、伊藤秀夫、塩田重利、高橋庄二郎、宮﨑正 編『口腔病変診断アトラス』医歯薬出版、1980年9月。ISBN 978-4-263-40298-6。
山下佐英 他『除痛の臨床』医歯薬出版〈歯科臨床ポイントシリーズ〉、1984年8月。ISBN 978-4-263-40323-5。
山下佐英 他 著、大谷隆俊、園山昇、高橋庄二郎 編『図説口腔外科手術学（上）』医歯薬出版、1988年8月。ISBN 978-4-263-40537-6。
山下佐英 他 著、大谷隆俊、園山昇、高橋庄二郎 編『図説口腔外科手術学（中）』医歯薬出版、1988年10月。ISBN 978-4-263-40538-3。
山下佐英 他 著、大谷隆俊、園山昇、高橋庄二郎 編『図説口腔外科手術学（下）』医歯薬出版、1989年6月。ISBN 978-4-263-40539-0。

これらの著作は、多くの歯科医師や口腔外科医にとって不可欠な参考書となっています。

所属団体

国内外の主要な学術団体において重要な役割を担いました。

日本口腔外科学会 名誉会員、専門医
日本口腔科学会 名誉会員
日本頭頸部腫瘍学会 元評議員
日本歯科薬物療法学会 元評議員
国際歯科研究学会 元運営委員

特に、日本口腔外科学会では名誉会員および専門医として、同学会の発展に寄与しました。また、日本頭頸部腫瘍学会および日本歯科薬物療法学会ではかつて評議員を務め、これらの学会の運営や学術活動に貢献しました。国際的な活動としては、国際歯科研究学会の運営委員を務めた経験があり、世界の研究者との交流を通じて日本の口腔科学研究の地位向上に努めました。

現在

鹿児島大学を定年退職した後も、教育・研究への情熱は衰えることなく、現在は鹿児島医療技術専門学校の学長として、将来の医療技術者の育成に力を注いでいます。長年の経験と知識を活かし、質の高い専門教育を提供しています。

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