山中瑶子

山中瑶子：新世代を代表する映画監督

山中瑶子（やまなか ようこ）は、1997年3月1日生まれ、長野県長野市出身の映画監督です。日本大学芸術学部映画学科監督コースを中退後、自主制作映画の世界で才能を開花させ、国内外から高い評価を得ています。

映画への目覚めと初期の活動

厳しい家庭環境で育った山中監督は、幼少期には映画や漫画などの文化に触れる機会が限られていました。しかし、高校2年生の時に美術教師から紹介されたアレハンドロ・ホドロフスキー監督の『ホーリー・マウンテン』や、ピーター・グリーナウェイ監督の『ZOO』といった作品に強い衝撃を受け、映画の世界に足を踏み入れます。

2015年、日本大学芸術学部映画学科監督コースに入学。しかし、大学での教育に疑問を感じ、1年で中退。その後、自主制作映画の制作を開始します。

『あみこ』での鮮烈なデビュー

山中監督の名を世に知らしめたのは、19歳から20歳にかけて制作された初監督作品『あみこ』です。SNSでキャストやスタッフを募集し、低予算ながらも独創的な世界観を作り上げました。

『あみこ』は、PFFアワード2017で観客賞を受賞。さらに、第68回ベルリン国際映画祭のフォーラム部門で上映され、長編映画として史上最年少の正式出品作品となりました。北米最大の日本映画祭・ジャパン・カッツでは、音楽家の坂本龍一が偶然同作を鑑賞し、絶賛したというエピソードも残っています。

近年の活躍：『ナミビアの砂漠』そして未来へ

2024年には、『ナミビアの砂漠』が第77回カンヌ国際映画祭の監督週間に選出され、国際映画批評家連盟賞を受賞。女性監督としては史上最年少での受賞となりました。

山中監督は、ピーター・グリーナウェイ、エドワード・ヤン、ロウ・イエ、若松孝二、テリー・ツワイゴフ、ハル・ハートリーといった映画監督から影響を受けています。また、好きな作家として金原ひとみの名前を挙げており、『ナミビアの砂漠』は金原の小説から強い影響を受けていることを公言しています。

選択的夫婦別姓や同性婚といった社会問題にも関心を持ち、自身の考えを発信しています。

主な作品

映画
あみこ（2017年）
21世紀の女の子「回転てん子とどりーむ母ちゃん」（2018年）※オムニバス映画の1編
魚座どうし（2020年）
ナミビアの砂漠（2024年）
テレビドラマ
おやすみ、また向こう岸で（2019年）
今夜すきやきだよ（2023年）

受賞歴

2017年：PFFアワード2017 観客賞（『あみこ』）
2024年：カンヌ国際映画祭 国際映画批評家連盟賞（『ナミビアの砂漠』）
2024年：TAMA映画賞 最優秀新進監督賞（『ナミビアの砂漠』）
2024年度：新藤兼人賞 金賞（『ナミビアの砂漠』）
ELLE CINEMA AWARDS 2024 エル ベストディレクター賞
2025年：毎日芸術賞ユニクロ賞（『ナミビアの砂漠』）
おおさかシネマフェスティバル2025 新人監督賞『ナミビアの砂漠』
第6回大島渚賞『ナミビアの砂漠』

山中瑶子監督は、その若さにもかかわらず、確かな才能と独特の感性で、映画界に新たな風を吹き込んでいます。今後の活躍から目が離せません。

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