山中篤太郎

山中篤太郎

山中篤太郎（やまなか とくたろう、1901年9月4日 - 1981年1月16日）は、日本の著名な経済学者であり、教育者です。一橋大学の第3代学長を務めたほか、日本経済政策学会代表理事、日本中小企業学会初代会長、労働省中央労働基準審議会会長など、数々の要職を歴任しました。正三位勲一等瑞宝章を受章しています。

生涯

東京市日本橋区（現在の中央区）で生まれた山中は、阪本尋常小学校、東京府立第一中学校を経て、1925年に東京商科大学（現在の一橋大学）を卒業しました。大学では上田貞次郎のゼミに所属し、経済学の研究を深めました。

1927年に東京商科大学の助手となり、その後、講師、助教授を経て、1939年に教授に就任しました。この間、ヨーロッパへの留学も経験し、国際的な視野を広げました。1946年には商学専門部長兼商業教員養成所長となり、教育にも尽力しました。1949年には東京商科大学から経済学博士号を授与されました。

1953年、一橋大学社会学部教授となり、同大学の社会学部長（1953-1958年）も務めました。その後、経済学部教授（1960年）を経て、1959年から1961年まで第3代一橋大学学長を務めました。1961年には経済学部教授と社会学部教授を兼任し、1965年に一橋大学を定年退官。その後、明治大学の教授に就任しました。

山中は、中小企業の研究に特に力を注ぎ、その分野での第一人者として知られています。また、労働問題や社会政策にも関心を持ち、研究活動だけでなく、中央労働基準審議会会長などの公職も務め、日本の経済政策に大きな影響を与えました。


山中の指導を受けた学生には、石田忠（一橋大学名誉教授）、石畑良太郎（青山学院大学名誉教授）、天野郁夫（東京大学名誉教授）など、著名な研究者が多数います。

1981年には、山中が所蔵していた書籍が「山中文庫」として一橋大学附属図書館に収蔵され、現在も研究者にとって貴重な資料となっています。

主な著書

山中は、数多くの著書や論文を発表しており、その研究業績は高く評価されています。以下は、主な著書の一部です。

『日本勞働組合法案研究』（1926年）
『勞働組合法の生成と変轉 英國』（1929年）
『日本勞働組合法研究』（1931年）
『日本社會經済の研究』（1933年）
『中小工業の本質と展開 国民経済構造矛盾の一研究』（1948年）
『中小企業論』（1956年）
『労働政策の歩み 一経済学者のかかわり』（1973年）

また、編著として、

『日本産業構造の研究』（1941年）
『中小工業の諸問題』（1948年）
『中小企業研究二十五年』（1963年）

などがあります。

これらの著書は、当時の社会経済情勢を分析し、今後の経済政策を考える上で重要な役割を果たしました。

栄誉

山中の長年の功績に対し、従五位から始まり、1981年には正三位勲一等瑞宝章が授与されました。これは、彼の学術界および社会への貢献が広く認められた証です。

遺産

山中篤太郎は、経済学者としてだけでなく、教育者、政策立案者としても、多大な功績を残しました。彼の中小企業に関する研究は、現代の日本経済を理解する上で欠かせないものとなっています。また、その蔵書は「山中文庫」として一橋大学に保存され、後世の研究者に活用されています。

もう一度検索