山井崑崙

山井崑崙（やまのい こんろん）

山井崑崙は、江戸時代中期に活躍した儒学者であり、考証学の分野において先駆的な業績を残しました。彼の生涯と学問的貢献について解説します。

生涯

山井崑崙は、紀州海部郡小南村（現在の和歌山県海南市）で、医者の山井高卓の長男として生まれました。生年については1681年または1690年という説があります。若くして和歌山城下で紀州藩儒の蔭山東門に儒学を学び、その後京都で伊藤東涯に師事しました。さらに江戸に出て、 당시 최고의 유학자였던 荻生徂徠の門下に入り、彼の学問に深く影響を受けました。

享保3年（1718年）1月、崑崙は西条藩の江戸詰藩士として15人扶持で召し抱えられました。享保5年（1720年）9月からは、同じく徂徠門下で友人でもあった根本武夷とともに、足利学校の蔵書を校勘する事業に3年間従事しました。この校勘作業の成果として結実したのが、考証学上の名著として知られる『七経孟子攷文』です。

享保11年（1726年）、崑崙は長年の研究の成果である『七経孟子攷文』を西条藩主・松平頼渡に献上しました。この業績は高く評価され、崑崙は切米60俵を加増されるという栄誉に浴しました。その後、『七経孟子攷文』は頼渡から幕府へと献上され、その学術的価値が広く認められることとなりました。

享保12年（1727年）の冬、病に倒れた崑崙は故郷である紀州へと帰りましたが、翌年の享保13年1月28日（1728年3月8日）にこの世を去りました。彼の死後、山井家は弟の善右衛門が養子となって家督を継ぎました。

崑崙は学問に打ち込む傍ら、旅を愛したことでも知られています。彼は各地を旅し、その অভিজ্ঞতা를 바탕으로 『鎌倉行紀』や『温泉紀行』（箱根紀行）といった紀行文も著しました。

学問的業績

崑崙の死後、幕府は荻生徂徠の弟である荻生北渓に命じて『七経孟子攷文』に校訂を加えさせ、『七経孟子攷文補遺』として出版しました。この『七経孟子攷文補遺』は、清国にも伝わり、現地の儒学者たちから高い評価を受けました。清の乾隆帝の勅命によって編纂された漢籍叢書『四庫全書』にも収録され、清朝における考証学の発展に大きく貢献しました。

山井崑崙の学問は、単に古典を研究するだけでなく、その内容を深く考察し、新たな解釈を加えるものでした。彼の考証学的な手法は、後世の学者たちに大きな影響を与え、日本の学術史にその名を刻んでいます。

参考文献

国史大辞典編集委員会『国史大辞典』
家臣人名事典編纂委員会編 『三百藩家臣人名事典』第6巻 新人物往来社 1989年
* 末木恭彦『徂徠と崑崙』 春風社 2016年

もう一度検索