根本武夷

根本武夷（ねもと ぶい）

根本武夷（1699年 - 1764年）は、江戸時代中期の儒学者です。武蔵国久良岐郡弘明寺村（現在の神奈川県横浜市南区弘明寺町）に生まれ、荻生徂徠の門下として活躍しました。

生涯

元禄12年（1699年）、名主の家に生まれます。幼少期に兄姉を亡くしたため、父は服部氏から養子を迎え家督を譲りました。武夷は江戸に出て長沼国郷に剣術を学び、後に八丁堀で剣術指南を行いました。

享保2年（1717年）、荻生徂徠に入門。入門の動機は諸説ありますが、徂徠の学問に感銘を受けたことが大きかったと考えられます。同年秋には、母の一周忌で帰郷した際、太宰春台、安藤東野、山井崑崙ら同門の士と鎌倉を訪れています。

享保6年（1721年）には、山井崑崙と共に足利学校で書籍の校勘を行い、享保16年（1731年）には『七経孟子攷文』を著しました。また、寛延3年（1750年）には『論語集解義疏』を校刊しました。

根本家の家督相続においては、複雑な事情がありました。享保11年（1726年）に実家で相続問題が起こったため、一時家を離れ、後に家督を継ぎました。その後、弟に家督を譲り、弟の死後には再び家督を中継ぎとして務め、養子に譲っています。

明和元年（1764年）11月2日に没しました。墓は当初弘明寺にありましたが、後に六ツ川定光寺裏に移転され、現在は横浜市登録地域文化財となっています。

学問的業績

根本武夷は、儒学者として多くの著作を残しました。特に、『七経孟子攷文』と『論語集解義疏』は、彼の代表作として知られています。これらの著作は、清国でも高い評価を受けました。

『七経孟子攷文』: 山井崑崙と共に編纂した、儒教の経典に関する研究書です。
『論語集解義疏』: 『論語』の注釈書であり、校勘に携わりました。

その他の著作

以下は伝存不明の著作です。

『相中八雄伝』
『鎌倉風雅集』
『武夷山房集』
『東遊筆記』
『剣技小録』
『坂東八平氏伝』
『武蔵七党伝』
『武夷山人遺稿』

また、以下の書籍の編纂にも携わりました。

荻生徂徠『唐後詩』
安藤東野『東野遺稿』
荻生徂徠『徂徠先生答問書』

根本家について

根本氏は下野国出身で、塩谷氏の末裔とされています。根本半弥光則を祖とし、その子孫は武蔵国や鎌倉に移り住んだと伝えられています。根本氏が弘明寺村に土着したのは江戸初期以前と考えられています。

親族

父：根本又太夫信成
母：了心貞讃
義兄・養父：根本又太夫重員
弟：根本又八成博
先妻：又太夫娘
後妻：馬場春水娘
養子：根本新五郎、根本八右衛門伯隆

根本武夷は、江戸時代中期の学術文化に貢献した人物として、その名が記憶されています。

もう一度検索