山内太地

山内太地氏は、1978年に生まれ、日本のライター、大学研究家、教育ジャーナリストとして活動しています。特に日本の大学に関する研究を専門としており、学校経営コンサルタントとしての側面も持ち合わせています。

経歴

岐阜県中津川市出身。岐阜県立中津高等学校を経て東洋大学社会学部社会学科を卒業しました。大学在学中に、一方向的な大人数授業（マスプロ教育）に疑問を感じ、他の大学に関心を抱くようになったのが、大学研究の道に進むきっかけの一つとされています。初めて訪れたのは学習院大学で、その後、国内外の大学キャンパス訪問を重ね、2009年には日本の4年制大学全773校を訪問するという偉業を達成しました。

学生時代には、ユニークな学生運動にも関わっています。松本哉氏の思想に共感し、「東洋の貧乏くささを守る会」を結成。法政大学の同様の団体と連携し、「全日本貧乏学生総連合」に加盟。学内での鍋パーティーを企画するなど、個性的な活動を展開しました。

また、1999年には大学内の噂をテーマにしたミニコミ誌『駄々』を創刊。自身の大学訪問記のほか、学内サークルのゴシップ記事などを掲載し、学内で話題を呼びました。特に、当時存在した学生新聞や学生雑誌への批判記事は大きな波紋を呼び、これらの刊行物が編集部員の減少を招き、最終的に廃刊に至る要因の一つになったとされています。

大学を主なテーマとするライター石渡嶺司氏とは親交が深く、両氏は東洋大学社会学部の鉄道研究会に所属する先輩・後輩の間柄でした。

研究手法と評価

山内氏の大学研究は、基本的に大学キャンパスを直接訪れ、建物や学食といった外部から観察可能な要素を評価するスタイルが中心です。また、取材は主に学長や理事長、広報担当部署への聞き取りインタビューによって行われています。この手法のため、大学内部に深く入り込み、教職員や学生から詳細な情報を収集・分析する研究は比較的少ない傾向にあります。

その著書やブログ、Twitterでの情報発信については、大学教員などから不正確さや、思い込み、印象論が多いといった指摘がなされることもあります。Twitter上でこうした指摘を行った大学教員に対し、山内氏が該当ツイートを削除したり、アカウントをブロックしたりしたケースも報じられています。

さらに、『下流大学に入ろう』といった書籍を執筆する一方で、いわゆる難関大学やブランド力のある大学を重視する傾向が見られることから、小規模大学関係者からは不満の声も上がっています。

主張

大学入試制度についても自身の見解を示しています。例えば、2013年頃に検討されていた大学入試センター試験の廃止と「達成度テスト」導入の報道に関しては、「一発勝負でなくなる点は受験生にとって利点となりうる」と評価する一方、「教育現場の負担増加や受験競争のさらなる激化を招く可能性があるため、現行制度を抜本的に変更する必要性は感じられない」という否定的な意見を表明しています。

著書

山内氏は大学をテーマにした著作を多数発表しています。主な著書は以下の通りです。

単著
『真実の大学案内』（東京図書出版会）2000年
『下流大学に入ろう!』（光文社ペーパーバックス）2008年
『こんな大学で学びたい! - 日本全国773校探訪記』（新潮社）2010年
『22歳負け組の恐怖』（中経出版）2012年
『東大秋入学の衝撃』（中継出版）2012年
『大学のウソ　偏差値60以上の大学はいらない』（KADOKAWA・角川oneテーマ21）2013年
『就活下克上　なぜ彼らは三流大学から一流企業に入れたのか』（幻冬舎新書）2014年

共著
『時間と学費をムダにしない大学選び』シリーズ（石渡嶺司氏との共著）2008年、2010年、2011年、2013年、2014年、2015年
『危ない大学』（海老原嗣生、倉部史記、諸星裕氏らとの共著）2012年
『アホ大学のバカ学生 グローバル人材と就活迷子のあいだ』（石渡嶺司氏との共著）2012年
『一番新しく、どこよりも辛口! - 最辛大学ガイド』シリーズ（石渡嶺司氏との共著）2012年、2013年、2014年、2015年
『高大接続改革―変わる入試と教育システム』（本間正人氏との共著）2016年

監修
『DVD大学選びのポイント 基本編/Q&A編』（石渡嶺司氏と共同監修）2011年
『大学生図鑑 2012』（晋遊舎ムック）2011年

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