山内流

山内流泳法の歴史と特徴

山内流（やまうちりゅう）、または臼杵山内流（うすきやまうちりゅう）は、大分県臼杵市に根付く伝統的な日本泳法の流派であり、日本水泳連盟に認定された13の流派の一つでもあります。この流派は、1966年3月22日に大分県の無形文化財に指定され、その文化的価値が高く評価されています。

歴史的背景

豊後水道に面した臼杵藩では、すでに16世紀頃から水練が行われていたとされ、特に大友義鑑の時代には水練術が盛んでした。江戸時代後期の1822年には、伊予松山藩士である山内久馬勝重から臼杵藩士の稲川清記が新しい泳法を学び、これが「勝重流」と名付けられました。この流派が以降、臼杵藩の象徴的な泳法となったのです。

当初、山内流は一時期衰退するものの、1892年には当時の臼杵町長の宇野治光を始め、地域の有志の尽力により再興され、流名が統一されて「山内流」として知られるようになりました。

日本游泳連盟との関係

1930年には全国規模の泳法流派が集まり、日本游泳連盟が設立されました。この際、山内流は設立時の加盟団体の一つとして名を連ね（当初は「山ノ内流」という名で）、その名声を確立しました。

泳法の特徴

山内流の泳法には、斜横泳（しゃおうえい）と立泳（たちおよぎ）という二つの基本的なスタイルがあります。斜横泳は、頭を前に向けて体を斜めに傾け、手は「手繰手（たぐりて）」、足は「三節扇足（さんせつおうそく）」という足の使い方をする方法で、特に遠泳に適しているとされています。他方、立泳は「継扇足（けいおうそく）」を用い、足だけで立ちながら泳ぎ、そこから大きな旗を振ったりする、あるいは弓矢を引いたり、書道を行うといった特殊な技術もあります。この技法は元々、武術として水中での戦いに用いられるものでした。

現在の活動

現在、毎年7月21日から約20日間、中津浦鯉来ヶ浜で山内流の游泳所が設けられ、地元の子供たちに泳法が継承されています。この期間の最終日には泳法披露が行われ、地域の伝統を広める大切なイベントとなっています。また、1980年代以降、1月3日には寒中水泳大会が開催され、30回目の2016年を以て一時休止しましたが、2017年からは有志により初泳ぎのイベントが行われ続けています。

山内流は、ただの泳法ではなく、地域の文化や歴史、そして人々の絆を深める重要な存在です。

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