山内鉄也

山内鉄也（1934年7月20日-2010年4月2日）は、日本の映画監督、テレビ演出家、脚本家として活躍した人物です。広島県広島市に生まれ、時代小説作家の白井喬二を叔父に持ちます。幼少期から映画に魅せられ、中学生時代から映画界への憧れを抱いていました。

広島市立舟入高等学校、中央大学経済学部卒業後、1957年に東映に入社。時代劇への強い情熱から京都撮影所へ配属され、助監督としてキャリアをスタートさせます。内田吐夢、伊藤大輔、松田定次、マキノ雅弘、加藤泰、工藤栄一等、錚々たる監督の作品に携わり、助監督としての経験を積みました。マキノ雅弘監督作品では共同脚本も担当しています。

1964年、『忍者狩り』で監督デビューを果たします。近年、東映集団抗争時代劇の代表作として高い評価を得ている作品です。その後も時代劇映画の監督として活躍する一方、1966年には『怪竜大決戦』を監督。従来の時代劇に怪獣要素を取り入れるなど、斬新な試みで注目を集めました。

東映京都撮影所のリストラを機に、テレビ演出に転向します。東映取締役で京都撮影所長だった岡田茂氏（後の東映社長）の勧誘を受け、当初は抵抗を感じていましたが、映画だけでなくテレビ制作もこなす必要性を痛感し、転向を決意しました。

1967年には特撮テレビ番組『仮面の忍者赤影』の演出を担当。怪獣、ロボット、円盤、歌舞伎など、様々な要素を盛り込んだ奇想天外な作品は、多くの視聴者を魅了しました。この作品における多くのアイデアは倉田準二氏によるものとされていますが、山内氏は『怪竜大決戦』での経験を生かし、ブルーバック特撮などで作品制作に貢献しました。

1968年には、師匠である伊藤大輔氏の降板を受けて『祇園祭』の監督を引き継ぎました。7年の歳月と巨額の製作費を費やし、京都府と京都市の出資を得てオールスターキャストを実現した超大作です。同年、結婚。その後フリーとなり、民放テレビ時代劇を中心に活躍しました。

TBSのナショナル劇場（後のパナソニック ドラマシアター）で放送された『水戸黄門』第1話の演出をはじめ、『大岡越前』『江戸を斬る』など、数々の時代劇作品でメイン監督を務めました。西村俊一プロデューサーと共に、テレビ時代劇のフォーマットを確立した重要な人物と言えるでしょう。

映画監督としての作品には、『主水之介三番勝負』『天保遊侠伝 代官所破り』『銭形平次』『水戸黄門』（劇場版）、台湾で撮影された『封神榜』『梅山收七怪』などがあります。

晩年は函館大学の客員教授として、「映像制作論」「映像文化論」などの講義を担当し、後進の育成にも尽力しました。2010年4月2日、心不全のため75歳で死去しました。

山内鉄也氏は、映画とテレビの両分野で活躍し、時代劇に新たな息吹を吹き込んだ、日本の映像文化に貢献した重要な人物でした。その功績は、現在も高く評価されています。

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