松田定次

松田 定次（まつだ さだつぐ）

松田定次（1906年11月2日 - 2003年1月20日）は、日本の映画監督として昭和期ににわかに名を馳せた人物です。彼のキャリアは、戦前及び戦後にわたり、多くの時代劇映画を手がけ、特に東映における活動が顕著でした。父は映画界の先駆者と称される牧野省三で、映画監督のマキノ雅弘は異母兄にあたります。これにより、松田は映画界における確固たる地盤を持っていました。

松田は、戦前においてはマキノ・プロダクションや新興キネマ、日活、大日本映画などで活躍し、その後、異母弟のマキノ光雄が責任者を務める東映に移籍しました。ここで彼は、特に時代劇映画のジャンルで数多くのヒット作を連発し、東映京都のトップ監督としての地位を築きました。彼の手がけた作品の多くは、プログラムピクチャー大作として高く評価されました。

代表作としては、戦前の『鞍馬天狗』シリーズが有名で、松田はこの作品を通じて時代劇の各種ストーリーを展開しました。戦後は、大映から東映に移籍後、片岡千恵蔵が主演する『多羅尾伴内』シリーズを監督し、すべての作品を手がけました。その後も、同じく千恵蔵主演の『金田一耕助』シリーズのうち5作を監督し、また和製ガンアクションを先駆けた『にっぽんGメン』シリーズも手がけています。これらの作品は、松田が映画界に与えた影響を物語っています。

彼の芸術的功績は、単なるシリーズ作にとどまらず、1956年の東映オールスター時代劇『赤穂浪士 天の巻 地の巻』や、1959年の『忠臣蔵 櫻花の巻・菊花の巻』、1961年の『赤穂浪士』など、数多くの大作映画を制作したことにあります。また、彼は大友柳太朗主演で国産初のカラーシネマスコープ映画である『鳳城の花嫁』を初演出し、ここから6年で映画界の首位に躍り出たのです。

その後、松田はテレビ時代劇の制作にも携わり、1964年から放送された『水戸黄門』や『鞍馬天狗』のテレビシリーズでも主要な監督を務めました。これにより、彼の作品はスクリーンを超えて、テレビという新しい媒体でも多くの視聴者に親しまれることになりました。

松田定次は、その多彩な作品により日本映画界において欠かせない人物となり、数多くの監督や俳優に影響を与えました。彼のキャリアは、映画の発展に寄与したものとして今でも多くの映画人に支持され続けています。松田の遺した作品群は、時代劇を中心に多岐にわたり、彼が生涯を通じて築いた映画界への貢献は、後世に語り継がれていくことでしょう。

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