山口宗永

山口宗永

山口宗永（やまぐち むねなが）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将・大名であり、豊臣秀吉の家臣として活躍しました。加賀国大聖寺城主として知られています。

生涯

豊臣・小早川家臣から独立大名へ

天文14年（1545年）、山口秀景（甚介）の子として生まれた宗永は、豊臣秀吉に仕え、文禄2年（1593年）には大友義統の改易に伴い豊後国に入り、太閤検地を実施しました。慶長2年（1597年）には、秀吉の甥である小早川秀秋を補佐するため、豊臣政権から付家老として送り込まれ、小早川領にて検地を行いました。また、慶長の役では朝鮮に渡り、秀秋を補佐し、蔚山城の戦いでは小早川勢を率いて加藤清正らが籠城する蔚山倭城を救援したとされています。

しかし、秀秋との折り合いは悪く、秀秋が慶長3年（1598年）に筑前国名島城から越前国北ノ庄城へ転封されると、宗永は加賀大聖寺城の独立大名に取り立てられました。その後、秀秋の転封は取り消され旧領に戻りましたが、宗永は加賀に留まりました。

関ヶ原の戦いと最期

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、宗永は石田三成の西軍に与しました。7月26日、東軍の前田利長は約2万の軍を率いて金沢城を出撃し、西軍の丹羽長重が拠る小松城を攻撃するように見せかけましたが、急遽これを避け、8月1日に加賀松山城に入城しました。宗永はその危機を聞き、大聖寺城の防備を固め、北ノ庄城の青木一矩や小松城の丹羽長重に救援依頼の使者を送りましたが間に合いませんでした。

翌2日、利長は九里九郎兵衛・村井久左衛門を使者として宗永に降伏を勧告しましたが、宗永はこれを拒否しました。前田勢は城攻めを開始し、宗永の嫡男・修弘が兵を潜ませて迎撃を指揮しましたが、前田勢に発見され敗北。山口勢は敗残兵を収容し篭城戦の構えをとりました。前田勢も山崎長徳隊などの軍勢を投入し、城の外周で戦闘が展開されました。修弘は果敢に出撃し前田勢に被害を与えましたが、前田勢の鉄砲隊の一斉射撃を受け、城内に退却しました。前田勢が押し進む中、宗永父子も反撃しましたが、兵力差は圧倒的であり、宗永は塀の上から降伏の意思を伝えました。

しかし、多くの兵を失った前田勢はこれを許さず、城内に突入し、8月3日の夕方、大聖寺城は陥落。宗永・修弘父子は自害しました。宗永は山崎長徳の家臣である木崎長左衛門に自分の首を討たせたと伝えられています。

宗永と修弘の墓は、石川県加賀市大聖寺神明町にある全昌寺にあります。また、その首塚は旧大聖寺川の福田橋近くに位置しています。

その他

小早川隆景の隠居後、若い秀秋に代わって筑前国の支配を仕切ったのは宗永でした。宗永は朝鮮出兵に際して博多を兵站拠点にしようとした豊臣政権の意向を受け、博多の町への統制を強化し町衆を圧迫したため、島井宗室らから反発を買いました。その後、秀秋が筑前に復帰すると朝鮮出兵が終わり、宗永も秀秋の下を離れたこともあり、博多の町衆に対して「玄蕃時之事（山口宗永が定めた規定）」を否定して守護不入の特権を回復させる約束をしています。

子孫

宗永の子孫は松江藩に仕え、明治維新後には、日銀の理事となった山口宗義、明治を代表する建築家である山口半六、物理学者で京都帝国大学教授、学習院院長を務めた山口鋭之助、太平洋戦争においてミッドウェー海戦で第二航空戦隊を指揮して戦死した山口多聞（宗義の子）、レーシングドライバーの山口礼（宗義の玄孫）などを輩出しています。

『寛政重修諸家譜』には、多羅尾光俊の子光広が、宗永の父甚介（諱は長政とされる）の婿となったことで創始した平姓山口家が2家記載されています。光広の子光正は宗永の娘をめとり、光俊・光久を儲け、両家とも旗本として存続しています。

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