大聖寺城

大聖寺城（錦城山公園）

大聖寺城は、石川県加賀市大聖寺錦町に位置する、南北朝時代から江戸時代初期にかけて存在した日本の城です。別名、錦城とも呼ばれ、加賀国の南端、加越国境の大聖寺川付近の錦城山（標高70m）に築かれました。

構造

本丸を中心に、北の丸、二の丸、西の丸、鐘ヶ丸、東丸の6つの郭が尾根上に連なる連郭式城郭で、谷を挟んだ両側の尾根筋にも郭群が配置された環郭式に近い構造でした。各郭には腰郭や土塁、空堀などが設けられ、本丸には高さ約4mの鉤形の土塁がありました。最大の郭である鐘ヶ丸には、高さ3～4m、幅約3mもの巨大な土塁が残っています。

現在、城跡は錦城山公園として整備されており、加賀市の市指定文化財（史跡）となっています。

歴史

鎌倉時代に狩野氏によって築かれ、その居城となりました。南北朝時代には、中先代の乱に呼応した名越時兼を迎撃する拠点となり、新田義貞に荷担した勢力との間で争奪戦が繰り広げられました。戦国時代には、一向一揆の拠点の一つとなり、越前国の朝倉氏による侵攻も受けました。

織田信長の越前平定後、柴田勝家によって修復され、上杉謙信との手取川の戦いでは、一時上杉氏の手に落ちるなど、戦略上の要衝として重要な役割を果たしました。

関ヶ原の戦いでは、城主の山口宗永が西軍についたため、前田利長によって攻め落とされ、宗永は自刃しました。その後、前田家家臣が城代を務めましたが、一国一城令により廃城となりました。

江戸時代に入り、前田利治が大聖寺藩を立藩すると、その藩庁として大聖寺陣屋が城跡に設けられました。

遺構

現在、錦城山公園には、曲輪や土塁などの遺構が残されています。本丸跡には案内板が設置され、東丸跡からは加賀市の街並みを一望できます。また、関ヶ原の戦いで戦った山口宗永を偲ぶ石碑も建立されています。

周辺には、時鐘堂や江沼神社庭園、国の重要文化財に指定されている長流亭（川端御亭）などの施設があります。

アクセス

鉄道: IRいしかわ鉄道線・ハピラインふくい線 大聖寺駅から徒歩約14分
バス: 北陸新幹線 加賀温泉駅から加賀周遊バスCANBUS海まわりコースで約16分、「舟と久弥と長流亭/加賀市民病院」下車後、徒歩約5分
* 車: 北陸自動車道 加賀インターから約10分、または片山津インターから約15分

錦城山公園には駐車場も整備されています。

大聖寺城は、その歴史と遺構を通じて、加賀地方の歴史を今に伝える貴重な史跡です。

もう一度検索