島井宗室

島井宗室の生涯と功績

島井宗室（しまい そうしつ）は、1539年に生まれ、1615年に亡くなった戦国時代から江戸時代初期の博多商人であり茶人です。彼は「宗叱」とも表記され、名は茂勝であり、号は虚白軒を名のっていました。博多の三傑として神屋宗湛、大賀宗九と共に称されることが多く、彼の教えや行動は今でも多くの人に影響を与えています。特に「武士とキリシタンには絶対になるな」という17の遺訓が有名です。

島井家は藤原北家の血を引き、代々藤氏を名乗りましたが、次郎右衛門茂久の代に島井姓に改めました。また、対馬国の宗氏の家臣という説も存在しています。

彼の生涯は、博多での酒屋や金融業の営みとともに、特に貿易において巨万の富を築くことで知られています。天正元年（1573年）から大友宗麟との取引きを開始し、宗麟から様々な特権を受けることで豪商としての地位を確立しました。また、彼は当時の著名な茶人との交流を深め、特に千利休との関係が知られています。

その後、耳川の戦いによって大友氏が衰退し、島津氏が台頭してくる中、宗室は織田信長に保護を求めました。1582年には信長と謁見し、天下三肩衝の一つである茶器・楢柴肩衝を譲ることで保護を約束されましたが、その後の本能寺の変に巻き込まれたことは、歴史の興味深いエピソードの一つです。

信長の死後、豊臣秀吉の下での活躍が始まります。博多から対馬に至る交通路を整備し、南蛮貿易や朝鮮との貿易によりその富を増大させました。秀吉の九州征伐にも協力したものの、朝鮮への出兵には強硬に反対し、最終的には秀吉の怒りを買って蟄居となりました。

彼は再び許され、五奉行の石田三成と共に日本軍の後方支援を行いながら、明との和平交渉にも取り組みました。貿易事業は順調に進展し、莫大な富を手に入れ、また珍品や茶器を贈答することで他の大名たちとの関係も築いていきました。しかし、江戸時代に入ると彼は冷遇されることになります。

関ヶ原の戦い後、筑前博多が黒田長政の支配下に入り、宗室は彼の福岡城の築城に財力で協力しました。その後、1615年に死去し、彼の墓地は崇福寺瑞雲庵に設けられています。死の直前には、養嗣子の島井信吉に対して17ヶ条の訓戒を送ったことでも知られています。彼の著作に『島井宗室日記』があり、福岡市立博物館所蔵の肖像画が残されています。また、大正5年（1916年）には従五位を追贈されました。

福岡の都市高速呉服町出入口近くには、島井宗室屋敷跡を示す石碑があり、屋敷の土塀は戦争後に保存されて、「博多べい」として記念碑が設けられています。宗室の業績や教えは、博多のみならず日本の商業史において重要な役割を果たしました。

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