山口市菜香亭

山口市菜香亭

山口市菜香亭は、山口県山口市天花に位置する観光文化交流施設です。その歴史は、明治時代に長州藩の膳部職だった齊藤幸兵衛が八坂神社の境内に開いた料亭「祇園菜香亭」に遡ります。

料亭「祇園菜香亭」の誕生

「菜香亭」という名前は、料亭を贔屓にしていた井上馨が、齊藤幸兵衛の「齊」と「幸」から「齊幸亭」の読みを取り、当て字で名付けたものとされています。萩藩の台所支配人が開いた料亭ということもあり、井上馨の他、伊藤博文、木戸孝允、山縣有朋といった元勲や、田中義一、岸信介、佐藤栄作といった内閣総理大臣経験者も訪れたとされ、山口市における迎賓館、社交場としての役割も担っていました。

料亭は5代目店主だった齋藤清子（通称「おごうさん」）が高齢になったため、1996年に120年の歴史に幕を閉じました。

市民運動による保存と移築

閉店後、建物の解体計画が持ち上がりましたが、近代日本史を伝える貴重な建物として保存活用を求める市民運動が起こり、2000年には山口市に請願書が提出され、市議会で採択されました。

市も利活用方法を模索し、2003年4月に「おごうさん」から現金と建物（解体部材）、扁額、調度品一式が市に寄付されました。これを受け、市は「市民の文化活動及びまちづくり活動に供することにより、地域文化の向上及び地域を担う人材の育成を図るとともに、本市の貴重な歴史・文化資源を次代へ向け保存し、幅広い交流の場として活用する」ことを目的に、元の建物を山口市天花に移築復元し、2004年10月2日に「山口市菜香亭」として開館しました。

移築にあたっては、菜香亭が最も華やかだった1936年当時の姿に復元され、木材は可能な限り元の建物のものが使用されました。建物の運営管理は、保存活動を求めた市民グループが中心となって結成したNPO法人「歴史の町山口を甦らせる会」が行っています。

現在の菜香亭

現在は、「おごうさん」が寄贈した明治から昭和にかけての常連客の品々が常設展示されている他、かつての大広間などが会議室やギャラリーとして活用されています。元料亭の建物ですが、移築の際の建築基準法の関係から火気を使用することができず、食事などはすべてケータリングを利用する必要があります。

また、「祇園菜香亭」跡地は国の史跡「大内氏遺跡」の「築山館跡」の範囲に含まれており、移築後の発掘調査によって、料亭の井戸があったあたりから築山館の付属建物と思われる柱跡が検出され、大内政弘・義興の時代の15世紀後半の土師器や瓦質土器のすり鉢、足鍋のほか、軒平瓦や軒丸瓦などが出土しています。

アクセス

JR山陽新幹線・山陽本線 新山口駅より防長交通バス「西京橋・日赤前経由県庁」方面行きで「野田学園前」バス停下車徒歩2分
JR山口線 山口駅より山口市コミュニティバス大内ルート「野田」バス停下車徒歩3分

周辺情報

聖サビエル記念公園
今八幡宮
豊榮神社・野田神社
瑠璃光寺
山口県護国神社

外部リンク

公式ウェブサイト
山口市菜香亭（山口市公式サイト内）
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