瑠璃光寺

瑠璃光寺：大内文化と毛利家の歴史を刻む山口の象徴

山口市香山町に位置する瑠璃光寺は、曹洞宗に属する由緒ある寺院です。境内は香山公園として整備され、春には桜、冬には梅が美しく咲き誇る名所となっています。国宝に指定されている瑠璃光寺の五重塔を中心に、大内氏盛隆期の文化と毛利家の歴史を垣間見ることができる、山口を代表する観光地となっています。

歴史の重層：香積寺から瑠璃光寺へ

瑠璃光寺の歴史は、室町時代の大内義弘が現在の地に香積寺を建立したことに始まります。応永の乱で戦死した義弘を弔うため、弟の盛見が五重塔の建設を開始しましたが、盛見も戦死し、五重塔は嘉吉2年（1442年）頃に完成しました。その後、天文9年（1540年）に建立された仏殿は、現在広島市の不動院に移築され、国宝に指定されています。

一方、陶弘房夫人が夫を弔うために文明3年（1471年）に建立した安養寺は、後に瑠璃光寺と改名され、明応元年（1492年）には山口市仁保高野に移転しました。江戸時代、毛利輝元が萩に香積寺を移転させた後、元禄3年（1690年）、仁保瑠璃光寺の跡地に現在の瑠璃光寺が移転されました。

国宝五重塔：大内文化の粋

瑠璃光寺の象徴である五重塔は、大内文化を代表する建築物として、国宝に指定されています。室町時代の建立で、屋外に現存する五重塔としては日本でも10番目の古さを誇り、「日本三名塔」の一つに数えられることもあります。高さ31.2m、檜皮葺の屋根が特徴的で、二層のみに回縁がついているのが独特です。

建築様式は和様を基調としつつ、回縁勾欄の逆蓮頭や円形須弥壇など、禅宗様（唐様）の影響も見て取れます。初重には、日本の仏塔では唯一の円形須弥壇があり、大内義弘像と阿弥陀如来像が祀られています。夜間はライトアップされ、周囲の風景と調和した幻想的な美しさを見せています。

五重塔の下には、大内義弘の遺骸が納められているという伝承があり、その歴史的意義をさらに深めています。

その他の境内施設と史跡

瑠璃光寺境内には、五重塔の模型や資料を展示する瑠璃光寺資料館、毛利家墓所の一部として国の史跡に指定されている香山墓所、薩長連合の密議が行われたとされる枕流亭、幕末の密議の場であった露山堂など、歴史的な建造物が点在しています。また、香山墓所への石段にある「うぐいす張の石畳」からは、独特の音響効果が楽しめることでも知られています。

瑠璃光寺の周辺

瑠璃光寺周辺には、山口県政資料館、山口県庁舎、山口県立山口博物館、山口県立美術館、山口サビエル記念聖堂など、多くの文化施設が集中しています。美しい自然と歴史的建造物が調和した環境は、観光客にとって魅力的な空間となっています。

アクセス

JR山口線山口駅から徒歩30分、または車で5分。中国自動車道小郡ICからは車で20分。山口市コミュニティバスも利用可能です。

瑠璃光寺：山口の歴史と文化を体感できる場所

瑠璃光寺は、単なる寺院という枠を超え、大内文化と毛利家の歴史、そして山口の自然を凝縮した、貴重な文化遺産です。国宝の五重塔をはじめ、歴史的建造物や史跡、そして美しい自然に触れることで、山口の歴史と文化を深く体感できる場所と言えるでしょう。

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