山口昌紀

山口昌紀（やまぐち まさのり）

日本の実業家であり、近畿日本鉄道（近鉄、現・近鉄グループホールディングス）の元代表取締役会長・社長（大阪電気軌道創立から14代目）です。

1936年（昭和11年）2月11日、奈良県奈良市に生まれ、2017年（平成29年）12月8日に81歳で逝去されました。奈良学芸大学附属中学校、奈良女子大附属高校を経て京都大学法学部を卒業後、1958年（昭和33年）に近鉄に入社しました。

近鉄でのキャリア

1991年（平成3年）に取締役に就任（秘書室長）し、その後、常務、専務を経て、1999年（平成11年）に副社長（経営企画・流通部門担当）に就任しました。2003年（平成15年）には社長に昇格し、グループの再建に取り組みました。

特に、赤字続きだったレジャー部門の立て直しを急務とし、社長就任直後には近鉄あやめ池遊園地の閉園を決定しました。また、大阪近鉄バファローズの経営再建が困難であると判断し、2004年（平成16年）に球団をオリックス・ブルーウェーブと合併させることを発表し、プロ野球再編問題の中心人物となりました。

プロ野球再編問題

球団合併の記者会見で、山口は「公益事業に携わる身として、回収の見込みがない経営資源を野球に投入するのは会社の性格上、無理だと思う」と発言しました。また、ライブドア社長の堀江貴文が近鉄球団の買収を申し入れた際には、「近畿日本鉄道は仁義を通し、信義を重んじる会社だ」「近畿日本鉄道をなめるなよ」と強く否定しました。この発言は、当時大きな話題となり、プロ野球ファンから多くの反発を受けましたが、一方で、赤字状態からの脱却という成果も残しました。

その後

近鉄グループの整理縮小が一段落した2006年（平成18年）からは、収益が見込まれる伊勢志摩地区などの強化に乗り出しました。

2007年（平成19年）に会長に就任し、2015年（平成27年）の持株会社化に伴い相談役となりました。

その他の活動

近鉄関連では近畿日本ツーリストや近鉄百貨店の会長職、近鉄関連以外ではラジオ大阪の番組審議会委員、朝日放送取締役、歴史街道推進協議会の会長、文楽協会理事長、関西経済連合会副会長、大阪商工会議所の常議員、日本会議大阪議長なども務めました。

また、1996年（平成8年）には鉄道業界のトップでは珍しく神職の資格を取得し、大阪府神社総代会の副会長も務めました。

著書

『奈良に育まれ 電車にのって 青山をみる』（2015年1月、奈良日日新聞社発行・廣済堂出版発売 ISBN 978-4-331-51834-2 ）を執筆しました。

家族

夫人は声楽家（ソプラノ歌手）の山口佳恵子です。

関連人物

佐伯勇（球団創設者で近鉄中興の祖。山口自身も秘書として仕えた）
上山善紀（佐伯の後の近鉄トップ）
* 田代和（球団最後のオーナー）

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