山口熊野

山口 熊野の生涯と功績

山口熊野（やまぐち ゆや）は、元治元年（1864年）11月11日、紀伊国牟婁郡浦神村で誕生した日本の実業家、政治家です。彼は父、山口俊道のもとに育ち、幼名は俊太と名付けられました。教育を受けた後、和歌山医学校を卒業し、さらに東京外国語学校ドイツ語科に進学。その後、東京大学予備門に進み医学部への入学を目指しましたが、その目標を途中で変え、政治活動に身を投じることとなります。

彼が強く影響を受けたのは、当時盛んだった自由民権運動であり、これがきっかけとなって板垣退助の自由党に参加しました。議会の開設を訴えて活動を展開しましたが、明治18年（1885年）には扶桑政談社を設立し、雑誌通信録を発行するも、法に触れる内容があったため禁固刑となり、さらに罰金も科されました。

出獄後の明治19年（1886年）、彼はアメリカへの密航を敢行し、在留日本人愛国同盟を結成。ここで、日本初の日本語新聞「新日本」を発行しました。しかし、日本の藩閥政治を批判したことで、政府はその新聞を輸入禁止にし、すでに発行されていたものも押収しました。

明治21年（1888年）には帰国するも逮捕され、重い刑罰を受けますが、大日本帝国憲法の公布による大赦で出獄しました。続いて、明治26年（1893年）には和歌山県会議員に選出されましたが、翌年には上京し、政治活動を続けることになります。

その後、明治31年（1898年）には第5回衆議院議員総選挙に和歌山県第3区から出馬し、当選を果たしました。彼はさらに連続して6度当選し、故郷の和歌山県の交通問題を解決するために、紀勢鉄道（現・紀勢本線）の敷設を提案。これが大正7年（1918年）に衆議院・貴族院で可決され、1919年から着工される運びとなりました。

日露戦争ではその功績により勲四等旭日小綬章を受章し、明治45年（1912年）の選挙では一度落選するものの、大正9年（1920年）の第14回衆議院議員総選挙で復活当選を果たし、勲三等に昇叙しました。そして、大正13年（1924年）まで議員を務め、その後は立憲政友会の元老としての道を歩みました。

昭和25年（1950年）6月24日に87歳で亡くなった山口熊野。彼は政治や実業界において多大な影響を与え続け、その業績は今日にも語り継がれています。山口家の本籍地は明治39年（1906年）に東京府に変更されましたが、昭和15年（1940年）には那智駅に彼の功績を称える頌徳碑が建立されており、地域の人々にその名が記憶されています。

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