山岡事件

山岡事件の詳細

山岡事件（やまおかじけん）は、1965年に発生した中央競馬における重大な不正事件であり、その影響は競馬界に大きな波紋を広げました。この事件は、競馬法違反の一環として知られる八百長事件であり、中心人物の山岡忞により名付けられています。この事件では、後に天皇賞・秋や有馬記念を制した名馬カブトシローに関連したレースで、不正行為が行われたとされています。特に、たちばな賞というレースでの八百長疑惑は今もなお語り継がれるエピソードです。

事件の発端

1965年の夏、日立建設機械における巨額横領事件に絡む恐喝事件で、暴力団員が逮捕されました。その取り調べの中で、彼らが中央競馬の騎手を抱き込んで八百長を行っていたと自白したことで、事件は明るみに出ます。これにより、警視庁と日本中央競馬会が調査に乗り出し、8月に入ると、騎手の山岡忞と暴力団員が贈賄の容疑で逮捕されました。さらに、騎手の中沢一男と高橋勇も収賄罪で逮捕され、後日、もう一人の騎手、関口薫も八百長に関与していたことが判明します。

この事件で起訴された4名は有罪判決を受け、競馬法により出場禁止処分を受けることになりました。結果として、これらの騎手は競馬界から事実上追放されることとなりました。山岡の供述によると、八百長行為は、1965年の初めに行われたたちばな賞やサラブレッド障害のレースで計画されたとされています。さらに、捜査は南関東公営競馬にも広がり、大井[[競馬場]]では他の騎手も不正行為で逮捕される事態に発展しました。

社会的影響

山岡事件は、競馬界だけでなく日本社会全体に大きな影響を及ぼしました。特に国会では、賭博の公正性を守るため日本中央競馬会の理事長を招致し、厳しい質疑が行われました。その後も、特に「公営ギャンブル廃止論」が唱えられるなど、左派系の野党からの批判が続きました。また、山岡忞自身が名騎手であったことも、競馬関係者にとっては衝撃的な事実でした。

事件を受けて、競馬界では規制が強化され、厩舎への出入り制限、騎手と外部との接触制限など、様々な対策が講じられました。アメリカの競馬システムを参考にした新たな規則が導入され、トレーニングセンター方式での人馬の管理が進められました。

たちばな賞と八百長の疑惑

たちばな賞での八百長疑惑について、山岡はレース前に仲間の暴力団と共謀し、サンキュウプリンスに騎乗する中沢を懐柔して不正に敗退させるよう指示したと供述しました。結果として、カブトシローが勝利し、サンキュウプリンスは5着に終わります。

しかし、八百長であったという見方に異議を唱える声も多く、レースのパトロールフィルムを見る限り、不正の証拠はないとの意見も存在します。一部の専門家は、当時のオッズを考慮すれば本命馬がサンキュウプリンスではなく、1番人気の馬が対象となるべきだと主張しています。

まとめ

山岡事件は、競馬の歴史において忘れがたい負の遺産であると同時に、競馬界の公正を維持するための対策を生むきっかけとなりました。これ以降、競馬の運営や規則は厳格化され、信頼回復に向けた取り組みが続けられています。

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