山岡洋之

山岡 洋之

山岡 洋之（やまおか ひろゆき、1975年4月23日 - ）は、兵庫県伊丹市に生まれ、プロ野球選手としてマウンドに立った人物です。左投げ左打ちの投手として、そのキャリアを歩みました。引退後は、長年にわたり打撃投手としてプロの世界に貢献しています。

アマチュア時代

兵庫県立伊丹北高等学校に進学し、野球部で投手に専念。3年次の夏に出場した全国高等学校野球選手権兵庫大会では、圧巻のピッチングを見せ、27イニング連続無失点という記録を打ち立てました。この活躍により、高校野球ファンにその名を知られることとなります。

高校卒業後、野球の名門である東北福祉大学へ進学。大学のチームには、2年上に門倉健投手、1年上に山田貴志投手といった実力者がおり、山岡自身も上級生になると頭角を現しました。仙台六大学野球リーグでは圧倒的な強さを誇り、通算成績は10勝0敗と、負けなしの記録を樹立。特に4年次には、春季リーグで3勝、秋季リーグで4勝を挙げ、秋にはリーグの最優秀選手に選ばれる栄誉に輝きました。また、4年時はバッテリーを組んだ捕手の鈴木郁洋と共に、春・秋両リーグでベストナインを受賞するなど、大学野球界を代表する投手として注目を集めました。

プロ入り後

大学での輝かしい実績を引っ提げ、1997年のプロ野球ドラフト会議において、阪神タイガースから5位指名を受け、プロ入りの夢を叶えました。

プロでの主な武器は、打者の手元で鋭く変化するスライダー、同じく手元で食い込むシュート、そして打者のタイミングを外すサークルチェンジでした。これらの変化球を駆使し、プロの世界に挑みます。

ルーキーイヤーとなった1998年には、早くも一軍にデビュー。この年は21試合に登板しました。特に、短い時間で肩を作ることができるという投手としての特性から、突発的なリリーフ登板を任される機会が多く、ブルペンの一角を担いました。初登板は1998年4月3日、横浜スタジアムでの横浜ベイスターズ戦でした。この試合の8回に4番手として救援し、1イニングを無失点に抑えています。また、プロ初奪三振も同じイニングで、打者井上純から記録しました。プロでの初先発登板は、1998年5月4日に広島市民球場で行われた広島東洋カープ戦でした。しかし、この試合では4回1/3を投げて3失点と苦しい内容で、勝敗はつきませんでした。

しかし、プロの世界での競争は厳しく、1999年以降は登板機会が減少し、2000年を最後に一軍公式戦での登板は途絶えました。その後も再起を目指しましたが、再び一軍のマウンドに立つことは叶わず、2002年のシーズン終了後に球団から戦力外通告を受けました。他球団での現役続行を目指し入団テストを受けましたが、残念ながら合格には至らず、この年限りで現役生活にピリオドを打ちました。

引退後

現役引退後も、山岡氏は野球界との繋がりを保ち続けました。2003年からは、オリックス・バファローズ（当時はオリックス・ブルーウェーブ）の打撃投手に転身。自らの経験と技術を活かし、打撃練習の相手としてチームを支える裏方の重要な役割を担っています。

打撃投手としての日々を送る中で、山岡氏にまつわる印象的なエピソードが生まれました。2020年9月15日、ほっともっとフィールド神戸で行われた東北楽天ゴールデンイーグルス戦での出来事です。前日に育成契約から支配下登録されたばかりの大下誠一郎選手が、新しいユニフォームの準備が間に合わなかったため、急遽、山岡氏が打撃投手として使用していた背番号102のユニフォームを借りて試合に出場しました。そしてなんと、大下選手はこの借り物のユニフォームを着て、プロ初打席で本塁打を放つという劇的なデビューを飾ったのです。このユニフォームを介した意外な繋がりは、多くの野球ファンの間で語り草となりました。

詳細情報

記録

初登板：1998年4月3日、対横浜ベイスターズ1回戦（横浜スタジアム）、8回裏に救援登板
初奪三振：同上、8回裏に井上純から
初先発登板：1998年5月4日、対広島東洋カープ5回戦（広島市民球場）

背番号

57 （1998年 - 1999年、阪神タイガース）
54 （2000年 - 2002年、阪神タイガース）
102 （2003年 - 、オリックス・バファローズ 打撃投手）

山岡洋之氏は、アマチュア時代に無敗のエースとして名を馳せ、プロでは短い期間ながらも一軍でマウンドに立ち、引退後は打撃投手としてチームを支えるなど、様々な形で野球に深く関わり続けています。

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