山岳アルメニア共和国

山岳アルメニア共和国とは

山岳アルメニア共和国（さんがくアルメニアきょうわこく、アルメニア語: Լեռնահայաստանի Հանրապետութիւն）は、1921年に南コーカサスに存在した短命の国家です。シュニク共和国（アルメニア語: Սյունիքի Հանրապետություն）とも呼ばれています。

成立の背景

1920年9月、アルメニア第一共和国とトルコ大国民議会（アンカラ政府）の間でトルコ・アルメニア戦争が勃発しました。アルメニア軍は各地でトルコ軍に敗北し、11月には休戦。12月にはアレクサンドロポリ条約によって両国は和解しました。しかし、その直後の11月29日、赤軍第11軍がアルメニアに侵攻を開始。12月2日には、アルメニアは共産主義勢力に権力を委譲し、ソビエト連邦構成共和国となることに同意しました。

ソ連はトルコからの防衛を約束したものの、反共産主義者の迫害をしないという約束は破られ、ダシナク党が国外追放されました。さらに、ソ連はアルメニアの山岳地域であるアルツァフとシュニクをアゼルバイジャン・ソビエト社会主義共和国へ割譲することを提案します。これに強く反発したダシナク党のガレギン・ヌジュデは、12月にシュニクの自治を宣言しました。

1921年1月、ダシナク党員のドラスタマット・カナヤンは、ソ連との協力を提案しましたが、ヌジュデは拒否し、赤軍との戦いを続けます。

独立宣言

1921年2月18日、ダシナク党はエレバンで反ボリシェヴィキ反乱を起こし、一時的に権力を奪取しました。しかし、4月には赤軍に敗北し、反乱の指導者たちはシュニクへ逃れます。

4月26日、タテヴで開かれた第2回汎ザンゲズル会議において、ダララキャズ、ザンゲズル、山岳アルツァフの自治地域が山岳アルメニア共和国として独立を宣言しました。6月1日には国名をアルメニア共和国 (Հայաստանի Հանրապետություն) に改称。首都はゴリスに置かれ、ヌジュデが首相兼国防相に就任しました。その後、7月にはシモン・ブラツヤン (hy) が首相となり、ヌジュデは知事兼軍総司令官となりました。

終焉

ヌジュデはザンゲズルをアゼルバイジャン人から奪還することに尽力しましたが、赤軍は4月から7月にかけてシュニクへの攻撃を強めました。数か月にわたる激戦の末、ソ連が山岳アルメニアをアルメニア・ソビエト社会主義共和国の一部として残すことを約束したため、山岳アルメニアは降伏しました。

敗戦後、ヌジュデをはじめとする指導者や兵士、そしてアルメニア第一共和国の指導者を含む多くの知識人たちは、イランのタブリーズへ逃れました。

まとめ

山岳アルメニア共和国は、ソビエト連邦の勢力拡大と民族主義の衝突の中で、短期間ながらも独立を保った国家でした。その歴史は、激動の時代における民族自決の試みとして、記憶されるべきでしょう。

参考文献

* Other Armenian States from freenet.am

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