山岳地方 (パプアニューギニア)

山岳地方 (Highlands Region)

パプアニューギニアという国は、地理的・文化的な特徴に基づき、大きく四つの主要な地域に区分されています。その中で、国土の中央内陸部に広がる山岳地帯を指すのが、山岳地方（Highlands Region）です。この区分は、行政上の公式な機構を持つものではありませんが、地域的なまとまりとして広く認識されています。

地理的特徴

山岳地方は、パプアニューギニア本島のほぼ中央部、特に西寄りの内陸深くに位置しており、パプアニューギニアの脊梁ともいえる雄大なビスマーク山脈がこの地域を東西に横断しています。標高が高く、険しい山々が連なるその地形は、古くから地域間の移動や交流を困難にしてきましたが、その一方で、多様で独特な文化圏が育まれる温床ともなりました。その広さは約77,696平方キロメートルに及び、これはパプアニューギニア全体の陸地面積の約17パーセントを占める広大な領域です。

人口構成

この広大な山岳地方には、2011年に実施された国勢調査によれば、285万4874人が居住しています。これはパプアニューギニアの総人口の約3分の1近くに相当する規模であり、海岸部や島嶼部だけでなく、内陸の山間部にも比較的多くの人々が生活していることを示しています。人口密度は平方キロメートルあたり約37人ですが、地形によって居住に適した場所とそうでない場所があるため、人口の分布には偏りが見られます。

構成州

山岳地方は単一の行政体ではありませんが、地域的には以下の七つの州によって構成されています。各州はそれぞれに独自の州政府と州都を持ち、この広大な山岳地帯の各地域を管轄しています。これらの州は、山岳地方という大きな括りの中で、それぞれが異なる自然環境、言語、そして文化を有しています。

南部山岳州 (Southern Highlands Province) - 州都：メンディ (Mendi)
エンガ州 (Enga Province) - 州都：ワバック (Wabag)
西部山岳州 (Western Highlands Province) - 州都：マウントハーゲン (Mount Hagen)
シンブ州 (Chimbu Province) - 州都：クンディアワ (Kundiawa)
東部山岳州 (Eastern Highlands Province) - 州都：ゴロカ (Goroka)
ヘラ州 (Hela Province) - 州都：タリ (Tari)
* ジワカ州 (Jiwaka Province) - 州都：Minj

山岳地方は、その壮大な自然景観、独特な地形、そして多様な民族と文化によって、パプアニューギニアの中でも特に重要な地域の一つとされています。高地の冷涼な気候に適応した生活様式や、古くから伝わる伝統文化は、この地方を特徴づける要素となっています。

もう一度検索