山崎博昭

山崎博昭について

山崎博昭（1948年11月12日生まれ）は、日本の学生活動家で、1967年の第1次羽田事件で命を落としました。彼の生涯とその活動は、当時の学生運動において重要な位置を占めるものでした。

生い立ちと学生活動

高知県で生まれた山崎は、大阪市立茨田中学校を経て、大阪府立大手前高等学校を卒業しました。高校時代から彼は社会問題に対して強い関心を持ち、「大手前高校社研（社会研究会）」に参加。1967年に京都大学文学部に進学し、その早い段階で革命的共産主義者同盟全国委員会（中核派）の活動に身を投じます。反戦高協大阪府委員会の結成に参加するなど、彼の活動は積極的でした。

学生運動の一環として、山崎はデモや集会に頻繁に参加し、また砂川闘争にも関与していました。彼の情熱は、大いに同年代の仲間たちへ影響を及ぼしていました。

第1次羽田事件

1967年10月8日、佐藤栄作首相が南ベトナムを訪問する際、その阻止を試みる学生運動の中で第1次羽田事件が発生します。この事件に参加した山崎は、羽田空港に突入しようとする学生たちと共に、機動隊員との激闘に巻き込まれました。彼は警備車両が通過した後に倒れているところを発見されました。機動隊員によって救助されるも、18歳の若さで息を引き取りました。

山崎の訃報は家族に衝撃を与え、父親は「何をしているのか」と言い、自宅に閉じ籠もります。母親も東京へ行くまで何も言えず、涙を流しました。また、彼の追悼のために、10月17日には日比谷野外音楽堂で中央葬が行われ、著名な人々が弔辞を読みました。

死因を巡る議論

山崎の死因については、様々な意見が交錯します。警察は「仲間の運転する警備車に轢かれた」と説明しましたが、その証拠は乏しく、不起訴になりました。一方、東京都監察医務院からの死体検案書では、「脳挫滅」が死因とされていました。遺族と弁護団は警察の発表を疑問視し、警察発表にあるタイヤ跡は存在していなかったことを証言しました。

医学的調査によると、山崎には重いものによって圧迫された痕跡があったものの、タイヤによるものとは言えないとされ、その死因についての疑問が浮上しました。さらに、山崎を轢いたとされる学生たちが現場で証拠隠滅を図っていたことも報じられ、この事件は謎に包まれました。

余波

山崎の死は、当時の学生活動に大きな影響を与えました。南ベトナムの学生連合や解放民族戦線からは、日本の学生との連帯の意義を強調する声明が出されるなど、国際的な反響もありました。大江健三郎の意見を借りれば、山崎は「深く学ぼうとする若者」であり、その姿勢に耳を傾けたくなるとのことでした。

彼の死が学生運動を再活性化し、ヘルメットの着用を促すなど、以降の運動のあり方にも影響を及ぼしました。ただし、山崎の死が「樺美智子（1960年の安保闘争での死亡事件）」ほどの広範な同情を得られなかった点も指摘され、学生運動が孤立化しているという見方もあります。

このように、山崎博昭の生涯と死は日本の学生運動の歴史に深い痕跡を残し、以後の運動の展開において重要な意味を持ち続けています。

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