山崎直子 (宇宙飛行士)

山崎直子（旧姓：角野）は、1970年12月27日生まれの宇宙飛行士であり、宇宙政策委員会委員や女子美術大学客員教授などの要職も務めています。千葉県松戸市で生まれ、幼少期から宇宙に強い関心を抱いていました。

宇宙への憧憬

プラネタリウムや宇宙に関する映像作品、アニメ『宇宙戦艦ヤマト』などの影響を受け、宇宙への夢を育みました。特に、チャレンジャー号の事故を目の当たりにしたことが、「亡くなった宇宙飛行士たちの意志を継ぎ、宇宙の素晴らしさを子供たちに伝えたい」という強い思いへと繋がりました。この事故が、彼女が宇宙飛行士を目指す原点となったと言えるでしょう。

宇宙飛行士への道

東京大学大学院工学系研究科を修了後、宇宙開発事業団（現JAXA）に入社。国際宇宙ステーションの開発業務に携わりながら宇宙飛行士を目指し、2度目の挑戦で選抜されました。日本人女性宇宙飛行士としては、向井千秋に続く二人目という快挙を成し遂げました。2006年にはNASAの搭乗運用技術者に認定され、2008年には土井隆雄のミッションを支援するなど、着実に経験を積んでいきました。

国際宇宙ステーションでの活躍

2010年4月、山崎はISS組み立てミッションSTS-131に参加しました。ロードマスターとして物資の移送管理や作業指揮を担当し、スペースシャトル・ディスカバリーで宇宙へ飛び立ちました。機体の点検やISSへの到着、野口聡一宇宙飛行士らとの合流など、多くの任務をこなしました。ISS滞在中は、ロボットアーム操作による補給物資の移動や、実験装置の搬入など、多岐にわたる活動を行いました。また、地上との交信イベントや、きぼうでの琴の演奏、俳句の創作など、宇宙での生活を豊かにする活動も展開しました。

スペースシャトル引退とその後

スペースシャトルが2011年に退役したため、山崎は日本人として最後のシャトル搭乗者となりました。ISS長期滞在も期待されましたが、2011年8月に引退を表明し、日本の宇宙計画に影響を与えました。引退後は、ウェブサイトでの執筆活動や、宇宙政策委員会委員、札幌市青少年科学館名誉館長、女子美術大学客員教授、鳥取県宇宙部長など、様々な分野で活躍しています。

人物像

山崎は幼少期に札幌で星を観る会に参加したことが、宇宙を目指す大きなきっかけになったと語っています。また、松戸市のプラネタリウムにも足繁く通い、影響を受けました。このプラネタリウムは、山崎の宇宙ミッションを記念して「NAOKO SPACE PLANETARIUM」と名付けられ、記念碑も建立されています。松戸市では、彼女の帰還日を「まつど宇宙と科学の日」としています。

宇宙飛行士になる以前から宇宙工学を専攻し、きぼうの開発にも携わったエンジニアとしての側面も持っています。将来の夢として「日本で有人宇宙船を開発して打ち上げたい」と語っており、その情熱は尽きることがありません。結婚、出産、離婚を経験し、2児の母としても奮闘しました。また、アニメ作品に声優として出演したり、宇宙に関する様々なメディアに登場したりするなど、多才な一面も持っています。

略歴

1986年：松戸市立第一中学校卒業
1989年：お茶の水女子大学附属高等学校卒業
1993年：東京大学工学部航空学科卒業
1996年：東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻修士課程修了、宇宙開発事業団（現JAXA）入社
1999年：宇宙飛行士候補者に選抜
2001年：宇宙飛行士に正式採用、松戸市民栄誉賞受賞
2006年：NASAのスペースシャトル搭乗運用技術者資格取得
2010年：STS-131ミッションで国際宇宙ステーションへ
2011年：JAXAを退職
2013年：札幌市青少年科学館名誉館長に就任
2014年：女子美術大学客員教授に就任

その他

趣味は琴、書道、スキューバダイビング、テニス、ジャズダンスと多岐にわたります。著書も多数あり、自身の経験や宇宙への思いを多くの人々に伝えています。

山崎直子は、宇宙飛行士としての活動のみならず、教育、文化、科学技術の振興にも貢献しており、その多岐にわたる活動は、多くの人々に刺激と感動を与え続けています。彼女の功績は、これからも語り継がれることでしょう。

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