山本尚

山本尚 (Hisashi Yamamoto)

山本尚は、1943年7月16日に兵庫県神戸市に生まれた、日本の有機合成化学における著名な化学者です。名古屋大学およびシカゴ大学の名誉教授であり、現在は中部大学分子性触媒研究センターのセンター長を務めています。学位はハーバード大学から取得しており、1971年にPh.D.を得ました。その後、彼は東レ基礎研究所での研究を開始し、様々な大学で教壇に立つなど、教育者としても重要な役割を果たしてきました。山本は日本の科学界において高く評価され、ノーベル化学賞の候補者として広く知られています。

業績

山本氏の研究は主に、炭素-炭素結合形成反応を制御するための触媒の設計と合成に集中しています。特に、第13族元素（ホウ素やアルミニウムを含む）を使用した分子性酸触媒を開発しました。彼の研究により、不斉酸触媒や複合酸触媒が進化し、環境調和型の触媒も注目されています。これにより、産業界での応用が大いに広がり、多くの実用的な試薬が市場に出回っています。

略歴

山本は1961年に灘高等学校を卒業し、京都大学工学部工業化学科に進学し、1967年に卒業しました。その後、ハーバード大学大学院に進学し、イライアス・コーリー教授の指導の下、1971年に博士課程を修了しました。

その後、彼は帰国し、東レの基礎研究所で博士研究員として研究を行い、その後京都大学、ハワイ大学、名古屋大学、シカゴ大学と教育の場を変えながら教鞭を執りました。名古屋大学では助教授から教授に昇進し、その後名誉教授の称号も授与されました。2011年からは中部大学で教授として勤務し、分子性触媒研究センターの中心となっています。

研究の詳細

山本の専門分野からは、特にアルミニウムに基づくルイス酸触媒研究が挙げられます。彼は、この触媒を駆使して、精密な分子認識を行い、多様な有用な不斉反応を実現しました。これにより、化学反応の効率性や特異性が向上し、さまざまな分野での応用が期待されています。彼の研究成果は、科学界のみならず、産業界でも評価され、多くの商業化が進められています。

賞無歴と栄典

山本氏は数多くの賞を受賞しており、1988年には日本IBM科学賞、1992年には中日文化賞を受賞しています。また、2006年には英国のテトラヘドロン賞、2007年にはドイツのフンボルト賞、2011年には野依賞、さらに文化功労者としても表彰されています。彼の業績に対する評価は高く、2002年には紫綬褒章、2018年には瑞宝中綬章が授与されました。

著作

近年、彼は著書にも力を入れており、2020年に『日本人は論理的でなくていい』、2022年には『日本の問題は文系にある なぜ日本からイノベーションが消えたのか』を出版しました。これらの著作は、日本の科学界や社会に対する鋭い視点を提供しており、広く読まれています。

はじめに彼の業績や貢献を振り返ることで、山本尚が日本における化学者として果たした役割の重要性を再認識することができます。

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