山本暲

山本 暲（やまもと すすむ）について

生い立ちと教育

山本暲は1896年9月9日に高知県高岡郡久礼村に生まれました。彼は高知県立第一中学校（現在の高知県立高知追手前高等学校）に入学しましたが、途中で中退。その後、早稲田大学専門部に進学するも、こちらも中途で退学しました。彼は高等文官試験の行政科及び司法科の両方に合格し、その後様々な地方自治体の行政職に従事しました。特に、特高課長や学務部長、経済部長などの役職を経験し、最終的には岐阜県の内務部長に任命されました。

高知市長としての活動

1947年に公選制が導入された高知市長選挙において、山本は当選を果たしました。その当時、高知市は高知大空襲や南海大地震の影響で非常に厳しい状況にありました。市長としての最初の取り組みは、市民の住宅再建であり、彼は1千戸以上の住宅を確保しました。また、都市計画に基づく区画整理や換地処理、さらに道路や公園、上下水道の整備も進め、市民生活に必要な基盤を整えることに力を注ぎました。

板垣退助邸荒廃・破却事件

山本市長の在任中に起こった板垣退助邸荒廃・破却事件は、その後の彼の政治生命にも影響を及ぼしました。この事件は、戦後の住宅難および震災の影響により、文化財として大切にされてきた旧板垣退助邸を転用住宅として使用した結果、建物が著しく劣化した問題です。ここで、11世帯35名が4年間に渡りこの住宅に住むことになりましたが、その結果、本来の価値が失われ、文化財としての保存が困難な状態に至ってしまいました。

事件の詳細

板垣退助邸はさておき、文化的な価値が高いとされていた建物であり、高知市九反田に移転されていました。保存のために移転されていたにも関わらず、転用により数々の貴重な部分が消失し、最終的には市として修復を断念せざるを得ない状況に陥りました。山本はこの結果に責任を追及されることを恐れ、メディアの取材を回避し、実質的な対応は当時の助役に任せられました。

市長退任後の経歴

山本は1951年4月の市長選挙で敗北し、その後弁護士としての道を選びました。その後、改進党高知県連の幹事長や高知信用組合の組合長、さらには赤岡簡易裁判所の判事も務めるなど、さまざまな職務に従事しました。彼の市長としての任期は短かったものの、その活動や事件は高知市の歴史の中で重要な位置を占めています。

参考文献

1. 歴代知事編纂会編『日本の歴代市長 第3巻』歴代知事編纂会、1985年。
2. 『高知県人名事典 新版』高知新聞社、1999年。
3. 『全国歴代知事・市長総覧』日外アソシエーツ、2022年。

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