山本美越乃

山本 美越乃（やまもと みおの）

山本美越乃は1874年1月22日に三重県志摩郡鳥羽町に生まれ、1941年5月13日にこの世を去った日本の経済学者です。彼は明治から昭和の初期にかけて日本の経済学界において重要な足跡を残しました。特に京都帝国大学の総長を務めたことでも知られています。

経歴

彼は旧鳥羽藩士である山本昇平の三男として誕生し、幼い頃から優れた才能を示しました。鳥羽商船学校を飛び級で卒業したのち、同志社普通学校を経て、1903年に京都帝国大学法科大学選科を卒業しました。その後、大阪高等商業学校の教諭を経て、山口高等商業学校の教授となります。

1905年、山本は経済学の研究を目的とした留学の命を受け、アメリカに渡ります。コロンビア大学の夏季講座を受講した後、ウィスコンシン大学の大学院に進学し、経済学の修士号を取得しました。また、ポール・ラインシュ教授からは殖民政策について学びました。

1907年に帰国し、再び山口高等商業学校に戻ると、高等官に任命され、文部省派遣で清韓の視察に出かけました。1912年には京都帝国大学の助教授に就任し、殖民政策に関する講義を行うようになりました。1918年には教授に昇進し、経済学部長や総長も歴任しました。退職後は名誉教授に任命され、その業績が評価されました。

台湾議会設置運動との関与

山本は、自著『植民地政策研究』において、同化政策から自治主義への方針転換を提唱し、台湾議会設置の理論的支持者となりました。彼の意見は台湾議会設置運動に大きな影響を与え、1921年には閔元植の朝鮮における衆議院選挙法施行請願や林献堂の台湾議会設置懇願についての論評を行っています。

特に、閔元植が暗殺された事件の際には、台湾議会設置運動の関係者たちに勇気を与える重要な役割を果たしました。同年には初めて台湾を視察し、現地の日本人の状況に失望しつつ、台湾人有識者との交流を深め、台湾議会設置への支持を表明しました。

著作

山本の著作も多岐にわたっています。主な著作には以下が含まれます。

• - 『労働問題』(1913年、巌松堂書店)
• - 『支那に於ける独逸の経営』(1914年、巌松堂書店)
• - 『戦後に対する我実業家の覚悟』(1916年、戦後経済調査会)
• - 『我國民ノ海外發展ト南洋新占領地』(1917年、京都法學會)
• - 『植民政策研究』(1920年、弘文堂書房)
• - 『植民地問題私見』(1921年、弘文堂書房)
• - 『我が国情と労資協調問題』(1927年、電気協会東海支部)

彼の研究と著作は、当時の日本における植民政策や経済学の発展に寄与しています。

まとめ

山本美越乃は、日本の経済学界に多大な影響を与えた人物であり、台湾議会設置運動における彼の役割は特に評価されています。彼の功績や疑問への挑戦は、後の研究者にも多くの示唆を与え続けています。

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