山田春三

山田春三（やまだ しゅんぞう / はるぞう）

概要

山田春三は、1846年（弘化3年）に生まれ、1921年（大正10年）に没した、明治から大正にかけての内務官僚・政治家です。旧姓は村岡。長州藩士の家に生まれ、地方行政と国政の両面で活躍しました。官選県知事、宮中顧問官、貴族院議員などを歴任し、その生涯を通じて日本の近代化に貢献しました。

生い立ちと初期の経歴

1846年7月31日（弘化3年6月9日）、長門国阿武郡（現在の山口県萩市）にて、長州藩士・村岡忠治の次男として誕生。1874年（明治7年）11月、山田久允の養子となり、1876年（明治9年）6月に家督を相続しました。1875年（明治8年）には山口県第十二大区学区取締に就任し、教育行政にも携わっています。萩の乱での功績により、1877年（明治10年）には山口県十等属・警部となり、警察官僚としてのキャリアをスタートさせました。

地方官僚としての活躍

その後、山口県警部長、岩手県警部長、岩手県権少書記官を歴任。さらに、山梨県、奈良県、愛知県、佐賀県、京都府の各書記官を歴任し、地方行政官としての経験を積みました。

1898年（明治31年）4月には福島県知事に就任。ここでは、第2次山縣内閣の増税命令を実行しようとしたことが原因で県会と対立し、二度の県会解散を経験しています。1900年（明治33年）10月には埼玉県知事に転任。1902年（明治35年）2月には静岡県知事となり、1904年（明治37年）1月には広島県知事に就任しました。広島県知事時代には、日露戦争の対応に尽力し、その手腕を発揮。1907年（明治40年）1月まで在任しました。

国政への関与と晩年

1906年（明治39年）12月15日には、貴族院勅選議員に任じられ、研究会に所属。死去するまでその職を務めました。1912年（大正元年）9月4日には、錦鶏間祗候を仰せ付けられるなど、その功績が認められました。その他、宮中顧問官、久邇宮宮務監督なども務め、宮廷においても重要な役割を果たしました。

親族

二女の小山田コトは、陸軍少将の小山田勘二の妻です。

栄典

1903年（明治36年）5月30日には従四位を授与。1906年（明治39年）4月1日には勲二等旭日重光章と明治三十七八年従軍記章を授与されました。

まとめ

山田春三は、地方行政官として様々な県で知事を務め、国政においても貴族院議員として活躍した人物です。特に、日露戦争時の対応や地方行政における手腕が高く評価されています。その生涯は、日本の近代化を支えた官僚・政治家の一人として、歴史に刻まれています。

参考資料

人事興信所編『人事興信録 第5版』人事興信所、1918年。
『貴族院要覧（丙）』昭和21年12月増訂、貴族院事務局、1947年。
末弘錦江『防長人物百年史』山口県人会、1966年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』1990年。
歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
上田正昭他『日本人名大辞典』講談社、2001年。
* 吉田祥朔『増補 近世防長人名辞典 第2刷』マツノ書店、2002年。

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