山田重忠

山田重忠は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した武将であり、御家人です。山田重満の次男として生まれ、仮名を二郎と称しました。史料によっては、重広、重定、重貞とも記され、泉重忠と呼ばれることもありました。特に、承久の乱では、宮方の武将として重要な役割を果たしました。

生涯

治承・寿永の乱においては、父である重満が墨俣川の戦いで源行家の軍勢に加わり討死しましたが、重忠はその後、木曾義仲が京に入った際に上洛し、一族の高田重家や葦敷重隆らと共に京の警護にあたりました。義仲の滅亡後、源頼朝が鎌倉幕府を創設すると、重忠は尾張国山田郡山田荘（現在の名古屋市北西部、瀬戸市、長久手市一帯）の地頭に任じられ、幕府の御家人となりました。しかし、山田氏一門は伝統的に朝廷との繋がりが深く、重忠は鎌倉時代以降も京で後鳥羽上皇に仕え、建保元年（1213年）には上皇の法勝寺供養に随行するなどしています。

承久3年（1221年）5月、後鳥羽上皇が討幕の兵を挙げると、重忠は水野高康ら一族と共にこれに参じました。同年6月、京方は幕府軍を美濃と尾張の国境である尾張川で迎え撃つことになり、重忠は墨俣に陣を敷きました。京方の大将であった河内判官藤原秀澄は、少ない兵力を分散させるという失策を犯しましたが、重忠は兵力を集中させて尾張国府を襲撃し、幕府軍を打ち破って鎌倉にまで攻め込むという積極策を進言しました。しかし、臆病な秀澄はこれを受け入れませんでした。

京方の美濃での防御線は、幕府軍によってたちまち打ち破られ、京方は退却を開始しました。重忠は、このまま退却することは武士の名折れであるとし、300余騎を率いて杭瀬川に陣を敷き、幕府軍を待ち構えました。武蔵国児玉党の3000余騎が押し寄せ、重忠は激しく戦い、児玉党100余騎を討ち取りました。重忠の奮戦にもかかわらず、京方は総崩れとなり、重忠も京へ退却することになりました。

京方は宇治川を頼りに京都の防衛を図り、重忠は比叡山の山法師と共に勢多に陣を置き、橋桁を落として楯を並べ、幕府軍を迎え撃ちました。重忠と山法師は奮戦し、熊谷直国を討ち取るなどの活躍を見せましたが、幕府軍の大軍を前に京方の防御陣は突破されました。幕府軍が都に乱入する中、重忠は藤原秀康、三浦胤義らと共に、最後の戦いを挑むべく御所へ駆けつけましたが、御所の門は固く閉ざされており、上皇は彼らを門前払いしました。重忠は「大臆病の主上に騙されて、無駄死にするのか！」と門を叩き、悲憤しました。

その後、重忠は藤原秀康、三浦胤義ら京方武士の残党と共に東寺に立て籠もりました。幕府軍の大軍が押し寄せる中、重忠は敵15騎を討ち取るなど奮戦しましたが、手勢のほとんどが討ち取られ、嵯峨般若寺山に落ち延び、そこで自害しました。

重忠の自害後、嫡子である重継も幕府軍に捕らえられ殺害され、孫の兼継は越後に流された後に出家し、僧侶として余生を送りました。山田氏は、兼継の弟である重親とその子である泰親の系統が継承していきました。

大正6年（1917年）には、その功績を認められ、正五位が追贈されました。

人物

『沙石集』には、重忠は「弓箭の道に優れ、心猛く、器量の勝った者である。心優しく、民の煩いを知り、優れた人物であった」と記されています。また、信仰心の篤い人物でもあったとされ、領内に複数の寺院を建立したことでも知られています。

所縁の寺院

（具体的な寺院名は、資料には記述されていません。）

脚注

（資料には脚注は含まれていません。）

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