源行家

源行家について

源行家（みなもと の ゆきいえ）は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した武将である。彼は河内源氏の一員で、第五代源為義の十男として生まれ、初めは義盛（よしもり）という名で知られていた。行家は新宮十郎や新宮行家とも称され、特に以仁王の挙兵に際して源氏の令旨を各地に伝えたことで知られる。

生い立ちと初期の活動

源行家は永治年間から康治年間（1140年代の前半）の初めに誕生した。彼の母の名は不明だが、鈴木重忠の娘であるとの説もある。生まれた家庭背景からも、彼は源氏の中でも特異な立場にあった。行家は熊野三山の要職を持つ新宮別当家の嫡流で、自身が熊野に住んでいたため「新宮十郎」と名乗ったとされる。

彼の人生は、平治の乱において長兄の源義朝の陣営に加わったことから始まるが、その具体的な活動は文献には多く残されていない。治承4年（1180年）に以仁王の命を受け、源氏の結束を促すために奔走するが、これが結果的に平家に密告されたとも言われている。

挙兵と戦績

行家は甥の源頼朝に挙兵を促すが、頼朝のその他の勢力には加わらず、独立した武将としての道を歩む決意をする。三河国や尾張国で勢力を築きながらも、養和元年（1181年）には平家の重衡と交戦し、大敗を喫した。その後、頼朝のもとに逃げるが、所領を求めて拒絶されたため、頼朝と対立することになる。

義仲の元に身を寄せた行家は、彼との共同活動に従事し、志保山の戦いや平家継との合戦に参加するが、義仲との関係も次第に悪化していく。不和の末、京を脱出し、長野城への籠城を試みるが、最終的には捕らえられつつも独自の行動を続ける。

朝廷への入京

寿永2年（1183年）には義仲と共に京に入り、朝廷にて義仲と序列を争う。行家は従五位下・備後守に叙任され、その後遅れて備前守への異動を命じられる。彼は近隣諸国の貴族や法皇に対して流暢な弁舌を持ち、取り入ることに成功したが、再度の不和から京を離れることとなる。

最期の運命

義仲が頼朝の軍に敗れた後、行家も元暦元年（1184年）に朝廷の招きによって帰京するが、鎌倉源氏による平家追討には関与せず、江戸国と河内の支配を続けた。しかし、頼朝が行家討伐を企てると、行家は義経と連携し、頼朝方の勢力に対抗。しかし勢力を結集するのは困難で、最終的には失敗を重ねて逃亡し、身を隠すも、地元民によって密告され、1186年5月に捕らえられ、斬首された。

子孫と文化的影響

行家の子孫は『尊卑分脈』によると、長男の家光らが都の官人として生き延び、戦国時代には織田信長の家臣中野一安など、後の世代に名を残すこととなった。また、源行家に関連する作品も多く存在し、小説や映画、テレビドラマにてその名が取り上げられていることからも、彼の人生は歴史の一片として色濃く残されている。

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