山竹抗争

山竹抗争

山竹抗争は、平成元年（1989年）7月3日に勃発し、平成2年（1990年）に鎮静化した、五代目山口組（組長：渡辺芳則）と竹中組（組長：竹中武、四代目山口組竹中正久組長の実弟）との間の暴力団抗争事件です。

抗争勃発の背景

竹中組と山口組の確執は、山一抗争の頃から存在していました。竹中正久が四代目山口組組長に就任したことに反発した一和会によって竹中が殺害された後、竹中組は一和会への報復を続けました。しかし、稲川会が仲介し、山口組と一和会の手打ちが進められると、抗争終結を図る山口組執行部と、報復を継続する竹中組との間に溝が生まれました。

山口組が一和会との抗争終結を決定した後も、竹中組は山口組からの離脱を示唆しつつ、傘下の組員が一和会会長を襲撃するなど、山口組にとって厄介な存在となっていきました。

1988年6月、山口組五代目組長の選定が問題となり、翌1989年2月27日の定例総会で、竹中武は山口組若頭補佐に就任しました。4月20日の緊急幹部会では、五代目の人選が議論されましたが、竹中武は態度を保留し、若頭の渡辺芳則と組長代行の中西一男が協議した結果、中西が五代目の立候補を取り下げ、渡辺の五代目擁立が決定しました。

五代目跡目問題に決着をつけた渡辺は、竹中武を山口組に留め置くことを確認しましたが、若頭補佐の宅見勝がこれに反対しました。宅見は尾崎彰春に依頼し、岸本に竹中武の連れ戻しを断念させました。結局、渡辺も宅見の考えに同調し、竹中武の山口組脱退は濃厚となりました。

5月10日の山口組緊急執行部会で、宅見の山口組若頭就任が内定しました。同月18日、渡辺は山口組本家で盃直しの儀式を行い、尾崎彰春の実子らが新たに直参となりましたが、竹中武らは欠席しました。

5月27日、渡辺は新執行部を発足させました。新人事には若頭の宅見の意向が強く反映され、6月5日の山口組定例会で、竹中武らの山口組脱退が発表されました。25日には、他団体に対し「竹中武らは、今後五代目山口組とは何ら関係なし」とする文書が送付されました。

ただし、先代・竹中正久の位牌の取り扱いと山口組の守り刀の譲り渡しには時間がかかり、位牌と仏壇は6月4日に、守り刀は抗争勃発後の7月5日にそれぞれ引き渡されました。

山竹抗争の勃発と激化

7月3日夜、岡山市の竹中組事務所が銃撃され、翌4日には姫路市の病院で牛尾組組員が銃撃される事件が発生しました。

山口組は7月20日に渡辺芳則の五代目襲名相続式典を挙行しましたが、兵庫県警が阻止の方針を打ち出したため、出席者は限られました。一方、竹中組も7月18日に山口組の代紋を降ろし、新たな代紋を掲示。7月28日には総会を開き、幹部人事を決定しました。

その後、両組の間で銃撃事件や襲撃事件が頻発し、抗争は激化の一途を辿りました。竹中組からの離脱者も相次ぎ、組織は弱体化していきました。

抗争の終結へ

岡山県警は、山口組関連の暴力対策会議を開き、竹中組事務所の警備を強化しました。また、竹中組組員の逮捕も相次ぎ、組織は追い詰められていきました。

平成2年（1990年）3月5日、竹中組組員が銃撃され死亡する事件が発生しました。同年6月18日には、竹中武が逮捕され、組織は事実上解散状態となりました。

同年8月中旬には、竹中組組員は6人にまで減少していました。

山竹抗争は、山口組と竹中組という二つの組織の対立だけでなく、暴力団社会の内部抗争の激しさを象徴する事件となりました。

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