山脇春樹

山脇春樹は、1871年（明治4年）に京都府で生まれ、畑田清平の四男として生を受けました。後に山脇玄の養子となり、山脇姓を名乗ります。彼は第一高等学校を経て、1899年に東京帝国大学法科大学政治学科を卒業しました。同年、文官高等試験行政科試験に合格し、大蔵省に入省。その後、司税官を経て農商務省へ転じ、大臣秘書官、書記官、商務局商事課長などを歴任しました。さらに、台湾総督府専売局長、臨時博覧会事務官長といった要職も務め、その行政手腕を発揮しました。

1916年10月には山梨県知事に就任。県政においては教育の振興に尽力し、恩賜林記念日の制定や武田神社の創建を推進しました。1919年4月には三重県知事に転任し、不況下での県予算編成では、土木事業を重視する一方で他の支出を抑制する方針を示しました。1922年10月には栃木県知事、1924年6月には愛知県知事へと転任し、各県でその行政能力を発揮しましたが、1926年9月に知事を休職、1928年9月27日に退官しました。

退官後は、養母である山脇房子の跡を継ぎ、山脇高等女学校長として女子教育に尽力しました。彼の教育者としての側面は、官僚としてのキャリアとは異なる形で社会に貢献しました。

山脇春樹は、その功績により、位階では正四位から従三位、最終的には正三位まで昇叙し、勲章も受章しました。具体的には、1903年に勲六等単光旭日章、1906年に勲五等瑞宝章を授与されています。

彼の親族としては、養母に山脇房子がおり、彼女は山脇女子実修学校長を務めていました。山脇春樹の人生は、官僚としての地方行政への貢献と、教育者としての女子教育への情熱という、二つの側面から見ることができ、日本の近代化に大きく貢献した人物の一人として、その名を歴史に刻んでいます。

【参考文献】

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
『栃木県歴史人物事典』下野新聞社、1995年。
『山梨百科事典』増補改訂版、山梨日日新聞社、1989年。

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