山賊焼

山賊焼とは

山賊焼は、鶏肉を使った日本各地のご当地グルメとして知られています。大きく分けて、長野県中信地方を中心とした揚げ物と、山口県岩国市を中心とした焼き物の2種類があります。本記事では、それぞれの山賊焼について詳しく解説します。

揚げ物の山賊焼（長野県中信地方）

揚げ物の山賊焼は、鶏もも肉を、ニンニクやタマネギを効かせた醤油タレに漬け込み、片栗粉をまぶして油で揚げたものです。「鶏もも肉の唐揚げの大きいもの」と表現されることもあり、山賊揚げとも呼ばれます。ただし、鶏もも肉だけでなく、比較的安価な胸肉などの部位が使われることもあります。

「山賊"焼き"」と称しますが、実際には焼いたものではなく、油で揚げて調理します。長野県中信地方の居酒屋や食堂などのメニューとして定着しており、家庭料理やスーパーの惣菜としても一般的です。盛り付けの際には、千切りキャベツや手でちぎったキャベツを添えるのが一般的です。

発祥

山賊焼の名前の由来は、塩尻市の居酒屋「山賊」が発祥であると言われています。店の店主の祖父夫婦が、第二次世界大戦前後に考案したのが始まりとされています。骨付き肉で提供され、祖父の風貌が山賊に似ていたことから、この名前が付けられたと言われています。

地域での広がり

ご当地グルメとしてのPR活動が本格化したのは2000年代からです。松本市では、松本食堂事業協同組合青年部が主導して、山賊焼を出す店にのぼり旗を掲示するなどの活動を行いました。また、松本風の山賊焼として、持ち帰り用ににおいを抑えるためショウガを入れるなどの工夫も凝らされています。

一方、松本市に名物を取られることを懸念した塩尻市では、市役所が音頭を取り、山賊焼の定義を制定しました。両市では協力関係も築いており、合同でイベントを開催するなど、地域を盛り上げる活動を行っています。

焼き物の山賊焼（山口県岩国市）

焼き物の山賊焼は、骨付きの鶏もも肉を一本丸ごとオーブンやグリル、炭火などで、ニンニク風味の照り焼き風のタレに絡めて焼き上げたものです。ローストチキン風の料理であり、「（骨付きに限らず）鶏肉の照り焼き風」を山賊焼きと称することもあります。

岩国市玖珂町にあるレストラン「いろり山賊」で供されることで知られています。「いろり山賊」のルーツは、昭和20年代から広島市にあった居酒屋で、山賊焼は広島時代からのメニューでした。山口県民の間では、運転免許を取得したら最初のドライブで食べに行く料理として定着しています。

日本食研との関わり

「山賊焼」「山賊焼き」の商標は、食肉用調味料大手の日本食研が保有しています。同社の販売している「山賊焼のたれ」の調理方法では、「鉄板で焼いた鶏肉にたれをからめながら煮詰める」という、山口の山賊焼きに類似したレシピを紹介しています。

まとめ

山賊焼は、長野県と山口県でそれぞれ異なる調理法で親しまれているご当地グルメです。長野県の揚げ物は、ニンニク醤油の風味が食欲をそそり、山口県の焼き物は、照り焼き風の香ばしさが特徴です。それぞれの地域の歴史や文化が詰まった山賊焼を、ぜひ一度味わってみてください。

関連項目

ご当地グルメ
新子焼き - 北海道旭川市発祥のご当地グルメ。若鶏を焼いたものを「新子焼き」と称し、親鳥を焼いたものを「山賊焼き」と称する。
骨付鳥 - 山口の山賊焼に類似した香川県のご当地グルメ（ただしこちらの味付けは塩コショウ味）。
とり天

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