山路興造

山路興造（やまじ こうぞう）は、1939年6月13日に東京・渋谷で生まれた、日本の著名な民俗学者、芸能史研究家です。早稲田大学教育学部を卒業後、国立文化財研究所芸能部（現在の東京文化財研究所無形文化遺産部）に嘱託として勤務。その後、平凡社地方資料研究センター所員、京都市歴史資料館主幹を経て、1992年から同館の館長を務めました。

京都市歴史資料館館長在任中は、『京都市史』の編纂にも携わり、京都市の歴史研究に大きく貢献しました。退任後は、京都市文化財保護課参与、京都嵯峨芸術大学博物館館長、客員教授などを歴任し、後進の育成にも尽力しています。現在は「藝能史研究会」の代表委員、「民俗芸能学会」の代表理事として、研究活動を継続しています。

山路興造の研究は、日本の芸能史、特に民俗芸能の分野において重要な貢献をしています。中世から近世にかけての芸能の変遷、庶民信仰との関わり、祭礼や年中行事における芸能の役割など、多岐にわたるテーマを深く掘り下げています。また、人権の視点から都の文化を考察するなど、社会学的な側面からの研究も展開しています。

主な著書として、『翁の座 芸能民たちの中世』(1990年、平凡社)、『江戸の庶民信仰 年中参詣・行事暦・流行神』(2008年、青幻舎)、『京都芸能と民俗の文化史』(2009年、思文閣出版)、『中世芸能の底流』(2010年、岩田書院)、『近世芸能の胎動』(2010年、八木書店)、『都の文化・光と陰 人権の視点から』(2016年、世界人権問題研究センター)などがあります。これらの著作は、日本の芸能史研究における重要な文献として、広く参照されています。

共編著としては、『日本庶民文化史料集成』シリーズ（三一書房）や『祭りと芸能の旅 5 中国・四国』（ぎょうせい）など、数多くの研究書を執筆しています。また、五来重の著作集の編集にも携わり、学術研究の発展に貢献しています。

1992年には、ビデオブック『大系日本歴史と芸能 全14巻』(平凡社＋日本ビクター)の編集委員として、第46回毎日出版文化賞特別賞を受賞しています。この受賞は、山路興造の研究成果が社会的に高く評価されたことを示すものです。

山路興造は、その長年にわたる研究活動を通して、日本の芸能史と民俗学の発展に大きく貢献してきた人物です。その研究成果は、今後も多くの研究者や学生にとって貴重な資料となるでしょう。


研究活動の一環として、講演会やYouTubeでの発信も行っており、その知識と情熱は、一般の人々にも広く影響を与えています。

山路興造の研究は、単に過去の芸能を解明するだけでなく、現代社会における文化の意義を再考する上でも重要な示唆を与えてくれます。彼の業績は、日本の文化遺産を理解し、未来へ継承していくために不可欠なものです。

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