山部 (品部)

山部（やまべ）または山守部（やまもりべ）について

山部や山守部は、古代日本において朝廷から直轄された山林の管理とその産物を納める役割を担った職業部です。これらの部は、土地の特産物である栗や竹、かつらなどを時折貢献する自営農民によって成り立っていました。日本各地に設置され、特に宮城においては陽明門という名で知られる軍事的な部族でもあります。地方では「山部首」や「山部直」、あるいは「山部公」といった称号によって統治され、中央においては「山部連」がその業務を担当していました。この「山部連」は、天武天皇の治世において設立された八色の姓により宿禰の姓を受けていました。

『古事記』では、山部と山守部は同一のものであるとされ、本居宣長は併記が誤りであると述べています。さらに『日本書紀』にも、海人や山守部の設立についての記録があります。

山部の貢納品とその文化的意義

山部一族は、法隆寺に納められた「命過幡」と関連があると考えられています。「命過幡」とは、仏の威光を称えるために飾られる旗で、特に臨終時に浄土に往生することを願うために使用されます。この幡には、施入者の名や供養される人の名が記されており、山部が4例を担当したことが知られています。これは、山部の文化的な役割と関わりを深く描写しています。

また、平城宮木簡に見られる「山部宿禰東人」の記録や、天平19年に作成された法隆寺に関する資料にも山部の名が登場します。このことから、彼らが大和各郡からの人材を募り、山林資源を活用していたことが窺えます。

山部と地域の関係

法隆寺所蔵の歴史的記録からは、山部が属する地域の詳細な情報も確認できます。彼らは大倭・河内・摂津・播磨など、26か所に渡る寺院の所領を管理していました。その中でも、大倭の平群郡や坂戸郷における関与が特に注目されており、地名の由来や地勢にも影響を与えたようです。

『日本霊異記』に登場する聖徳太子にまつわる物語や、坂門の紀元に至る考察も、山部の影響力を助けている要因です。また、彼らの土地は、後の大和国や播磨国における地域の重要な拠点としての役割を果たしており、法隆寺との密接な関係性が見て取れます。特に、大和の山部連が居住した地域は古代における重要な政治的、文化的な中心地でもありました。

未来の研究に向けた流れ

このように、山部一族とそれに関連する研究は、多くの重要な文化的、社会的な側面を示唆しています。岸俊男は、山部に関する研究をさらに深め、彼らと大原氏との関連を含めた未来の研究テーマとして提示しています。こうした視点から、古代日本の文化と社会構造の理解が進むことが期待されます。

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