宿禰

宿禰（スクネ）とは

宿禰（スクネ、足尼、足禰、少名、宿儺）は、古代日本において用いられた称号の一つです。大和朝廷初期（3世紀から5世紀頃）には、武人や行政官を表す称号として使われていました。主に物部氏、秦氏、蘇我氏といった有力な豪族の先祖に「宿禰」の称号が与えられていました。

著名な人物

宿禰の称号を持つ著名な人物としては、以下の人物が挙げられます。

野見宿禰（のみのすくね）：相撲の始祖として知られる人物。
武内宿禰（たけしうちのすくね）：景行天皇から仲哀天皇まで5代の天皇に仕えたとされる伝説的な人物。
允恭天皇（いんぎょうてんのう）：第19代天皇。

八色の姓における宿禰

8世紀になると、宿禰は八色の姓の一つとして制度化されました。八色の姓とは、天武天皇が定めた新しい身分制度であり、真人（まひと）、朝臣（あそん）に次いで3番目に位置づけられました。この時、宿禰は主に大伴氏や佐伯氏など、連（むらじ）姓を持つ神別氏族に与えられるようになりました。

語源

宿禰の最も古い用例は、埼玉県行田市の稲荷山古墳から出土した鉄剣の銘に記された「多加利足尼」に見られます。宿禰（足尼）は、少兄（スクナエ）の約であり、高句麗の官名である小兄に由来するという説があります。

用法

宿禰の表記には、古くは足尼や足禰の漢字が用いられていました。古い伝承を伝える「国造本記」には、20以上の国の首長として「スクネ」を称号または官名とする人名や氏族名が見られます。例えば、甲斐国造には塩海足尼、穂国造には菟上足尼、淡道国造には矢口足尼などがいました。5世紀以前には主に畿内地方の豪族が用いていましたが、姓として制度化されたのは天武13年（684年）のことです。

まとめ

宿禰は、古代日本の歴史において重要な役割を果たした称号であり、その変遷は日本の社会構造の変化を反映しています。初期には有力豪族の称号として用いられ、後に八色の姓として制度化されたことで、より明確な身分を示すものとなりました。

関連項目

八色の姓
大伴氏
越智氏
佐伯氏
橘氏

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