岐阜県中部地震

岐阜県中部地震の概要

岐阜県中部地震は、1969年9月9日の午後2時15分頃、岐阜県郡上郡奥明方村を震源として発生しました。この地震は、美濃中部地震や奥美濃地震とも呼ばれています。地震の規模はマグニチュード6.6であり、震源の深さは0kmと非常に浅く、周辺地域に強い揺れを引き起こしました。

震源と断層

今回の地震の震源地は北緯35度47分、東経137度4分に位置し、現地調査では震源となる断層が初めて確認されることはありませんでしたが、余震の分布に基づく調査によって、震源断層が判明しました。東京大学の地質移動観測班によれば、N25°Wの走向で80°の傾斜を持つ長さ17kmの左ずれ断層が発見され、「畑佐断層」という名称が付けられました。

被害と影響

この地震によって、岐阜県内で山崩れや崖崩れが発生し、死者は1名、負傷者は10名に上りました。また、全壊した家屋は1戸、半壊した家屋は52戸になりました。特に郡上八幡城の石垣が崩れ、天守閣の一部が被害を受けるなど、文化財への影響も見られました。さらに、大和村立北小学校の校舎も傾き、使用できなくなりました。

奥明方村畑佐では、民家においてタンスやテレビが転倒し、石垣や土蔵の壁が崩れるなど顕著な被害が報告されました。神社の鳥居や狛犬も倒れ、墓石の転倒も相次ぎました。興味深いことに、木造家屋の倒壊は少なく、石垣や道路に被害が集中しました。東京大学の研究者によると、多くの木造家屋は瓦葺きであり、柱や梁に太い材を使っていたため、耐震性が高いと考えられています。特に、藁葺きの家屋に比べて軽い構造が功を奏したとされているのです。

道路被害

道路の被害も多く、主な問題は亀裂、崩壊、落石による通行止めでした。平地の道路は比較的無事でしたが、盛り土部分に多くの被害が集中していました。

震度と影響範囲

この地震は直下型だったため、多くの場所で激しい揺れを感じることとなりました。現地調査の結果、郡上郡の明方村や和良村、益田郡の馬瀬村と金山町、萩原町では震度5を記録しました。さらに、中部地方の西部を中心に東は東北地方、そして西は中国地方や四国北部にまで、その揺れが広がりました。

他の地震との関係

岐阜県中部地震は、以前の1948年の福井地震や1961年の北美濃地震、1984年の長野県西部地震といった、一連の大地震と関連が指摘されています。これらの研究によると、連続して起こる大きな地震は地域の地質学的な問題を浮き彫りにし、今後の地震防災対策に向けた重要な教訓を提供しています。

まとめ

岐阜県中部地震は、地域社会に大きな影響を与えただけでなく、地震に対する耐久性や防災について再検討する契機ともなりました。自然災害の前での備えと対応の重要性を痛感させられる出来事でした。

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