岐阜県郷土工芸品

岐阜県郷土工芸品は、岐阜県が独自の「岐阜県郷土工芸品指定要綱」に基づき、その価値を認め、指定した工芸品の総称です。これは、国の伝統的工芸品として既に指定されているものとは区別され、県内で継承されてきた優れた技術や地域特有の素材、そして岐阜の風土や暮らしに根差した手仕事品に光を当てることを目的としています。

この制度によって郷土工芸品として指定を受けるためには、主に以下の五つの要件を満たす必要があります。

主に日々の生活で使用される実用品であること。
製造工程の大部分が職人の手作業によって行われていること。
一定の期間、継続して県内で製造されてきた実績があり、今後もその生産が続けられる見込みがあること。
製品を生み出すための技術や技法が、特定の地域で世代を超えて受け継がれていること。
その地域の自然、人々の営み、資源などを題材や材料とし、高度な技術を用いて製作され、品格や質の高さを備えていること。

なお、岐阜県内には優れた伝統的工芸品が多く存在しますが、その中でも国の伝統的工芸品として既に指定を受けている以下の品目は、本制度の対象からは外されています。

飛騨春慶塗
一位一刀彫
美濃焼
美濃和紙
岐阜提灯
岐阜和傘

これらの品目は、国の制度によってその価値が認められ、保護・振興の対象となっています。

2009年6月時点では、合計48品目が岐阜県郷土工芸品として指定されており、これらは岐阜県内の各地域で育まれてきた多様な手仕事の文化を今に伝えています。主な指定品目は、県内の各地区に分かれており、それぞれの地域の特色が表れています。

岐阜地区

岐阜渋うちわ
花合羽
のぼり鯉
岐阜長良川花火
大桑竹細工
本巣わら細工
菊花石加工品
杞柳製品

西濃地区

西濃大理石
大垣の桝
養老ひょうたん
南濃天然木工芸
養老焼
久瀬のまいおどり

中濃地区

関の手づくりナイフ
関伝日本刀
美濃和紙加工品
郡上紬
郡上本染
古今染め
ふじ細工
郡上びく
郡上竿
ひな人形・五月人形
美濃白川まゆの花
東濃檜製神棚
平成の円空彫り
美濃筒引き本染め・手刷り捺染

東濃地区

精せっ器
イ草人形
恵那ロクロ製品
恵那曲物製品
裏木曾夕森紬
蛭川みかげ石製品
東濃檜製神棚

飛騨地区

飛騨さしこ
山田焼
渋草焼
小糸焼
白川郷の挽物
円空彫
山中和紙
飛騨宮村ひのき笠・一位笠
小屋名のショウケ
和ろうそく
飛騨高山の紙絵馬
飛騨高山の有道しゃくし
飛騨染
飛騨のさるぼぼ

これらの郷土工芸品は、それぞれの地域で培われた技術や文化遺産として、岐阜県の豊かな手仕事の歴史を今に伝え、将来にわたってその魅力が受け継がれていくことが期待されています。

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