岡場所

岡場所について

岡場所（おかばしょ）は、江戸時代における遊廓の一つで、幕府に公認された遊郭である吉原とは異なり、非公認の私娼屋が集まった場所です。「岡」という言葉は「脇」や「外」を意味し、言葉の由来となっています。吉原とは違った雰囲気の中で、安価で気軽に遊ぶことができる遊女屋が存在していました。

起源と発展

岡場所は、江戸の浅草堤から吉原が移転した後、主に江戸周辺の寺社門前にある茶屋から発展し、湯女や私娼が集まる空間として形成されました。特に、宝暦から天明年間にかけては最盛期を迎え、多くの人々に利用されていました。吉原に比べて格式が低く、玉代も安いため、庶民にとってはアクセスしやすい遊び場となりました。

この場所は、江戸市内にある日本橋、品川、内藤新宿、板橋、千住などの宿場町といったエリアにも点在しており、これらの地域には準公認の飯盛女や食売と呼ばれる私娼が存在していました。こうした背景から、岡場所は私娼文化の発展に寄与しました。

統制と消滅

岡場所は一度盛況を極めましたが、寛政改革や天保改革の影響で、幕府からの統制が強化されました。特に、寛政の改革では、岡場所があった55箇所の場所が整理統合され、その結果、残った場所は次第に減少していきました。

天保13年8月には、残存していた27箇所がすべて取り潰され、江戸四宿以外が姿を消しました。これにより岡場所は次第に絶えていき、最終的には廃絶となりました。

文化と影響

岡場所は、数多くの人々に愛され、江戸文化の一部として定着しました。特に、落語などの芸能においても岡場所が題材になった作品が多く存在します。中でも、初代柳家小せんの郭噺には、新宿や品川を舞台にしたものが多く見られ、江戸時代の人々の遊びや日常生活が垣間見えます。

岡場所は江戸の文化の中で、単に遊ぶ場所というだけでなく、人々の交流やお金のやり取り、また、それに伴う様々な人間模様を映し出す重要な場として存在していました。今日では、これらの歴史を元にした研究や資料も増えており、江戸時代の社会構造や人々の暮らしについて新たな理解が進められています。このように、岡場所は江戸時代の一端を知る上で重要な位置を占めているのです。

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