岡山の時鐘堂

岡山の時鐘堂：平和を告げる鐘の音

和歌山県和歌山市にある岡山の時鐘堂は、江戸時代初期に建てられた歴史的建造物です。和歌山城の西側、小高い丘の上にたたずむこの鐘楼は、単なる時刻を知らせる施設としてだけでなく、平和の象徴として、人々の心に深く刻まれています。

紀州徳川家の歴史と時鐘堂の誕生

1712年（正徳2年）、紀州藩5代藩主徳川吉宗の命によって建造された時鐘堂。その起源は、大坂夏の陣に遡ります。豊臣方の青銅製大筒を、紀州藩が接収。藩の砲術家、勝野五兵衛が管理していたこの大筒は、2代藩主徳川光貞の指示により、粉河の鋳物職人蜂屋安右衛門によって梵鐘に生まれ変わりました。この梵鐘は、時鐘堂の2階の大梁に吊るされ、城下町に時を告げていました。

堂前に立つ「禁殺生」の石碑は、初代藩主徳川頼宣が儒学者李梅渓に命じて建立させたものと言われています。この碑文は、藩主の平和への願い、そして生命の尊厳を訴えかけているかのようです。

時を刻み、平和を祈る

藩政時代を通して、時鐘堂の鐘は、時刻だけでなく、火災やその他の緊急事態を城下に知らせる役割も担っていました。明治維新後も、1921年（大正10年）まで時報としてその役割を果たし続けました。

その後、長らく静まり返っていた鐘の音は、終戦3周年を迎えた1948年（昭和23年）8月15日、和歌山ユネスコ協力会（現和歌山ユネスコ協会）によって再び鳴り響きます。「平和の鐘」打鐘会として始まったこの取り組みは、時鐘堂から全国へと広がり、2000年には日本ユネスコ協会連盟の「平和の鐘を鳴らそう！」運動へと発展しました。時鐘堂の鐘は、単なる時報の役割を超え、平和への願いを未来へと繋ぐ象徴となっているのです。

建築とアクセス

時鐘堂は、木造2階建ての建物で、間口5.95メートル、奥行き5.97メートル、高さ8.27メートルを誇ります。鐘自体の高さは1.33メートル、直径は0.97メートルです。1958年4月1日には、和歌山県指定文化財史跡に指定され、その歴史的価値が認められています。

和歌山駅や和歌山市駅から和歌山バスを利用し、「県庁前」バス停下車、徒歩約3分とアクセスも良好です。除夜の鐘つきは、12月31日22時30分から翌1月1日2時頃まで行われます。

和歌山市の歴史と文化を語る

岡山の時鐘堂は、単なる建造物としてだけでなく、和歌山市の歴史、文化、そして平和への願いを象徴する存在です。訪れる人々は、その歴史的背景を感じ取り、鐘の音に平和への祈りを込めることでしょう。その静寂の中に響く鐘の音は、過去から未来へと、平和へのメッセージを伝えています。

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